目次

1.刑事事件における「示談」とは
示談の意味
示談書には何を書くの?
2.示談成立と刑事処分との関係
3.示談交渉を弁護士に依頼するメリット
4.弁護士による示談交渉の流れ
5.示談に対する当事務所の考え方
6.示談による解決実績(一例)

 

 

刑事事件における「示談」とは

示談の意味

刑事事件における示談とは、加害者と被害者が話し合いをして、当該事件に関する当事者間の解決を図ることをいいます。

示談が成立した場合、通常、「示談書」という書面を2通作成します。作成した示談書は、加害者・被害者双方が署名・捺印したうえで、それぞれ1通ずつ保管します。

 

 

示談書には何を書くの?

示談書に書く内容について、法律上の決まりはありません。ですので、当事者間で合意した内容を自由に記載することができます。

ケース毎に、示談書の内容は様々です。

一般論として、示談書には、次のような条項が設けられることが多いといえます。

 

刑事事件の当事者・対象を特定するための情報

  • 当事者の特定:性犯罪等、被害者の個人情報に関する秘匿の要請が高度に認められる事件においては、被害者の特定につながる情報(氏名・住所等)を記載せず、事件番号(刑事事件毎に付与される番号)によって特定するなどの配慮が重要です。
  • 示談対象の特定:同じお店で万引きを繰り返したり、複数回会社で横領行為を繰り返したようなケースでは、示談対象の特定の仕方に注意が必要です。

 

示談金(慰謝料)の金額・支払い方法

  • 示談金(慰謝料)の金額は、法律で決まっているわけではありません。罪名、行為の態様、被害の状況、実務上の相場(罰金額や過去の裁判例などに基づくもの)などの事情に基づき、話し合いをして決定することになります。

 

被害者の不安を軽減するための措置

  • 性犯罪では、被害者への連絡・接触禁止についての条項を設けることが多いです。
  • 万引き事件では、今後お店に立ち入らないことの誓約をすることもあります。
  • その他、示談による解決を受け入れていただくための前提として、ケース毎に、被害者の不安を軽減するために必要な具体的な措置を検討して、示談書に記載します。

 

宥恕文言/告訴取り消し・被害届の取下げに関する条項

  • 刑事事件の示談書には、「宥恕」(ゆうじょ)という文言が記載されることがあります。 宥恕とは、「許す」という意味です。謝罪と被害弁償を尽くした結果、示談の成立にとどまらず、被害者が「宥恕する(許す)」という意思を示した場合には、被害感情が和らいだものと評価され、刑事処分を決めるにあたって、ご本人に有利な事情として考慮されます。
  • 器物損壊罪、名誉棄損罪などの親告罪(被害者からの告訴がなければ起訴することができない罪)において、示談が成立し、告訴の取り下げがなされた場合には、検察官は法律上起訴することができないため、確実に不起訴処分となります。そこで、親告罪において、示談が成立した場合には、告訴の取り下げについても受け入れていただくことが重要となります。

 

 

示談成立と刑事処分との関係

示談が成立したからといって、かならずしも、不起訴になるわけではありません。しかし、被害者の存在する刑事事件において、示談が成立したことは、刑事処分を決める上での重要な事実として、ご本人に有利な方向で考慮されます。

 

捜査段階(裁判になる前)

  • 初犯(前科・前歴がない)方が、万引き・暴行・痴漢・盗撮などの比較的軽微な類型の事件を起こしてしまったケースで、示談が成立した場合には、不起訴処分となる可能性が高いといえます。
  • 強制わいせつ罪、強制性交等罪などの重い類型に属する事件や、1000万円を超えるような高額の横領事件、強盗致傷罪、殺人未遂罪などの裁判員裁判対象事件等においても、示談が成立した場合には、不起訴処分となることがあります。当事務所では、このようなケースで不起訴処分を獲得したケースが多数あります。
  • 同種前科がある場合には、示談が成立したとしても、起訴(略式請求・公判請求の双方を含みます)される可能性が高いといえます。しかし、宥恕付きの示談が成立し、再犯防止のために具体的な取り組みを行っている場合等には、再度、不起訴処分となることもあります。当事務所では、上記のようなケースで不起訴処分を獲得したケースが多数あります。

 

公判段階(裁判になった後)

裁判官が量刑を決めるうえで、示談が成立したことは、ご本人に有利な事情として考慮されます。示談が成立した結果、執行猶予付きの判決を獲得したケースも多数あります。

 

 

示談交渉を弁護士に依頼するメリット

示談交渉の窓口:弁護士である必要性

  • 示談交渉は、当事者間で話し合いをして解決を目指すものです。しかし、通常、被害者は、加害者に自分の名前や連絡先を知られたくない、直接話をしたくないなどと考えることが多いです。そこで、弁護士が示談交渉の窓口となる必要があります。
  • 検察官から、「示談を考えているのであれば、弁護士を選任してください。」と言われて、ご相談にいらっしゃる方も多くいます。

 

示談書の作成をプロに任せることができる

示談書に何を書くかは、当事者の自由です。

当事者・事件の特定など、有効な示談書とするための基本的な情報を網羅することは勿論、被害者に示談を受け入れていただくために必要な条項、ご本人の刑事処分を決めるうえで有利となる条項等を適切に記載するためには、法律のプロである弁護士に作成してもらうことが確実です。

 

示談成立後の処分交渉を依頼できる

示談が成立しても、かならずしも、不起訴処分や執行猶予付きの判決となるわけではありません。

示談が成立したことを踏まえて、検察官と不起訴交渉をしたり、執行猶予判決を求めるための活動を弁護士に依頼することが重要です。

当事務所では、示談成立後も、粘り強く、処分交渉を行います。

 

 

弁護士による示談交渉の流れ

弁護士に示談交渉を依頼した場合の流れは、以下のとおりです。

 

①示談の申し入れをする

  • 捜査機関に対し、示談の申し入れをして、被害者への取り次ぎを依頼します。
  • 被害者は、弁護士に対しても、自分の名前や連絡先を教えることに不安を抱かれることがよくあります。そこで、示談の申し入れをする際には、そのような被害者の心情に配慮し、できる限り被害者の不安を軽減できるよう、慎重に対応いたします。

 

②示談交渉を行う

  • 弁護士から被害者に連絡し、示談交渉を行います。
  • 他事務所の中には、被害者の意向を確認しないまま、弁護士にとって便利な方法(SNSなど)で連絡をしたり、被害者の心情を顧みず一方的に話をして、考えを押し付け、再度傷つけてしまうようなケースもあると聞きます。そのような対応では、示談を受け入れていただくことは極めて困難であると言わざるを得ません。
  • 当事務所では、後述のような考え方に基づき、被害者の心情に最大限配慮しながら、示談を受け入れていただくための最善の弁護活動を実践しています。

 

③示談書の調印+示談金(慰謝料)の支払いを行う

  • 示談の合意が成立したら、弁護士が示談書を作成して、示談書の調印+示談金(慰謝料)の支払いを行います。
  • 示談書の署名・捺印は、弁護士が代理して行いますので、ご本人に、署名・捺印いただく必要はありません。

 

④処分交渉を行う

  • 示談書の調印+示談金(慰謝料)の支払いが完了したら、示談書+支払いに関する書面等を提出したうえで、刑事処分に関する交渉を行います。捜査段階であれば、不起訴を求める交渉、公判段階であれば、執行猶予判決を求めるための活動などを行うことになります。

 

 

示談に対する当事務所の考え方

示談は当事者双方のためにする

  • 被害者は、示談という言葉に、マイナスのイメージ(加害者の刑事処分を軽くするためのものであり、できればしたくないという思い)を抱いていることがよくあります。
  • たしかに、示談が成立すれば、ご本人は、自分のしたことに対する民事的な責任を果たすことができ、その結果、刑事処分において示談成立の事実が有利に考慮されることになります。そういう意味で、被害者の存在する刑事事件では、ほぼかならず、示談交渉を行うことになります。
  • しかし、示談は、加害者のためにのみ存在するわけではなく、被害者にとってもメリットがあります。刑事事件の被害に遭われた方は、事件の当時だけでなく、事件後も、大きな不安を抱かれています。示談交渉を通じて、弁護士がご本人の謝罪の気持ちをお伝えし、被害者が不安に思っていることを丁寧に聴き取った上で、それを軽減するための具体的な対応をした場合には、被害者の不安は軽減されるといえるでしょう。また、事件により生じた経済的な損害を補填することも、被害回復のためには重要です。
  • このように、示談は、当事者双方のためにするものであるということを意識し、そのことを被害者にもきちんとご説明することによって、示談という言葉に対する抽象的な不安・抵抗を解消できるように努め、示談を受け入れていただけますよう、真摯にご対応させていただきます。

 

 

示談による解決実績(一例)

示談が成立し、不起訴処分・執行猶予判決となった事案は多数あります。以下、その一部をご紹介します。

 

示談が成立し、不起訴処分となった事案

 

同種前科・前歴がある場合|示談が成立し、不起訴処分となった事案

 

示談が成立し、執行猶予判決となった事案

 

 

このページは、弁護士法人ルミナス東京事務所 弁護士 神林美樹 が執筆しました。