目次
1.控訴審とは |
2.控訴理由について |
3.控訴審の弁護活動 |
4.解決実績 |
控訴審とは
犯罪をしていないのに有罪の判決が下されてしまった、刑が重すぎるなどの場合に、控訴を申し立てる実益があります。
控訴は、第一審判決に対する不服申立てです。控訴をする場合には、第一審判決が下された日の翌日から数えて14日以内に、第一審判決をした裁判所に、高等裁判所宛の控訴申立書を提出します。
控訴審の裁判官は、審理の前に、第一審の事件記録及び弁護士が作成した控訴趣意書という書面を検討します。
そのため、第一審判決の分析及び控訴趣意書に力点を置いた弁護活動をすることが大切になります。
もっとも、控訴審においても、事実取調べが行われることもあるので、控訴趣意書と合わせて準備をしていくことが望まれます。
控訴理由について
控訴趣意書には、次に掲げるような控訴理由を記載していく必要があります。
絶対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反(377条,378条)
法令違反の程度が強いことから、その違反が判決の結果にどのように影響したかを問わず、控訴理由となるものです(絶対的控訴理由)。
具体的には、以下の場合が規定されています(377条1号~3号,378条1号~4号)。
①法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと
②法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと
③審判の公開に関する規定に違反したこと
④不法に管轄または管轄違いを認めたこと
⑤不法に公訴を受理し、またはこれを棄却したこと
⑥審判の請求を受けた事件について判決せず、または審判の請求を受けない事件について判決したこと
⑦判決に理由を附せず、または理由にくいちがいがあること
相対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反(379条)
訴訟手続の法令違反が、絶対的控訴理由に当たらない場合には、その「違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合」に、控訴理由となります(379条)。
事実誤認(382条)
事実誤認があって、その誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであれば,控訴理由になります。
犯人ではない、犯罪をしていないのに、有罪の判決を下されたという場合には、事実誤認を控訴趣意書に記載していくことになります。
事実を認めている場合であっても、第一審が、犯行態様、動機、結果などの事実を誤認しているときには、事実誤認を理由に控訴申し立てをして、減刑すべきである旨説得することになります。
法令適用の誤り(380条)
判決中に、刑法などの実体法の解釈・適用の誤りがあり、それが判決に影響を及ぼすことが明らかな場合には、控訴理由になります。
再審事由等があるとき(383条1項)
再審の事由、判決があった後に刑の廃止もしくは変更又は大赦があったことも、控訴理由となります。
控訴審の弁護活動
事実を認める事件の場合
事実を認めている場合であっても、第一審が、犯行態様、動機、結果などの事実を誤認しているときには、考慮すべきことを考慮していない(または過少に評価している)部分はないか、もしくは考慮すべきではないことを過大に考慮していないかという観点から、第一審判決を分析していくことが重要です。
また、被害者との間で、示談が成立していない場合には示談活動を行い、示談の成立を目指します。示談が成立している場合であっても、より一層、被害感情を緩和させるために示談交渉を再度行うことが有効なこともあります。
さらに、薬物依存症などによって病院への入通院が必要である場合には、それを行い、回復に向けた意欲及び実績があることを示し、刑務所に入れるべきではないことを主張立証することになります。
事実を争う事件の場合
事実を争う事件の場合には、第一審判決が事実認定の誤りをしていることを、具体的に主張していく必要があります。それと同時に、第一審判決に影響を及ぼすような証拠がないかを探し、事実取調べ請求をすることになります。
控訴審での事実取調べ請求には「やむを得ない事由」が必要ですから、「やむを得ない事由」に該当することを説得的に論じる必要があります。
第一審において、弁護側で専門家の知見を得る機会がなかった場合には、控訴審において、鑑定を依頼し、鑑定結果の事実取調べ請求を行っていくこともあります。
解決実績
このページは、弁護士法人ルミナス東京事務所 弁護士 佐々木さくら が執筆しました。