執筆者

弁護士法人ルミナス 

弁護士 佐々木 さくら が執筆しました。

第1 供述調書は刑事裁判において証拠として利用される

警察官や検察官が行う取調べでは、供述調書※という書面が作成されることがあります。検察官は、刑事裁判において、供述調書を証拠調べ請求起訴状に書かれている事実やどの程度悪質で、結果が重大な事件なのかということを立証します。

供述調書は、警察官や検察官が被告人から聞き取った内容を元に作成します。そのため、被告人が実際に伝えたいものとは異なる事実やニュアンスが記載されてしまうことは少なくありません。また、被告人自身も、記憶が誤っていることや取調べによるプレッシャーを受けることによって、誤って真実とは異なることを話してしまうこともあります。

 

※正確には「供述録取書等(供述書、供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であって供述を記録したものをいう。)」(刑事訴訟法第293条の3第1項)。

 

 

第2 被告人質問を先行する意味

そのため、裁判所には、被告人の供述調書を証拠として採用するかどうかを判断する前に、被告人質問を先に執り行い、その後に供述調書を本当に採用する必要があるかどうかを判断されたい(被告人質問を執り行った結果、採用する必要はなくなるでしょう。)旨伝え、その通りに裁判所に実施させる方法があります。

 

これまで、実際に被告人質問を先行して弁護活動をしてきましたが、やはりその方が圧倒的に被告人が真に伝えたいことを裁判所に伝えることができているという実感があります。ですので、特別な事情がない限り、被告人質問を先行することが望ましいと思います。

裁判員裁判では、裁判員に分かりやすい裁判にするためといった目的から、被告人質問先行型の審理を行うことが多いです。その影響を受けてか、最近では、裁判所の方から、被告人質問を先行して実施したいと言われることも増えてきました。しかし、裁判員裁判ではない、裁判「官」裁判では、未だに被告人質問を先行した審理方法は浸透しきっているとはいえない状況です。