記事を監修した弁護士

弁護士法人ルミナス法律事務所 埼玉事務所 所長
弁護士 田中 翔
慶應義塾大学法科大学院卒業。最高裁判所司法研修所修了後、公設事務所での勤務を経て、現在、弁護士法人ルミナス法律事務所埼玉事務所所長。日弁連刑事弁護センター幹事、埼玉弁護士会裁判員制度委員会委員、慶應義塾大学助教等を務めるほか、全国で弁護士向けの裁判員裁判研修の講師も多数務めている。冤罪弁護に注力し、無罪判決2件獲得。もし世界中が敵になっても、被疑者・被告人とされてしまった依頼者の味方として最後まで全力を尽くします。
先月、偽造通貨行使罪で逮捕者が出たとのニュースがありました。昨年7月の新紙幣発行後にこの犯罪で摘発されたのは初めてとのことです。
偽造通貨行使罪は、偽造された通貨を使用する罪です。偽造の通貨を作成する通貨偽造罪等と共に刑法第148条に規定が置かれています。
刑法第148条
①行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
②偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
なお、通貨を収得した後に初めてそれが偽造通貨であることに気づき、これを使用してしまった場合には、収得後知情行使等罪という罪名が適用されます。収得後知情行使等罪は刑法第152条に規定があります。
刑法第152条
貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。
両者を比較するとその法定刑の重さに圧倒的な違いがあることが分かります。偽造通貨の行使は、通貨の真正に対する公共の信用(等)を害するものであり、通貨偽造によって通貨に対する信頼が失われてしまえば、社会内の取引が著しく阻害されかねません。したがって、偽造通貨行使罪の法定刑は無期懲役を含む重いものとされています。これに対し、収得後に偽造等であることを知った場合には期待可能性が類型的に低いことなどから、収得後知情行使等罪の法定刑は罰金刑または科料となっています。
今回ニュースになっているのは、偽造通貨行使罪ですので、法定刑が重い方の犯罪となります。法定刑に無期懲役が含まれているので、仮にこの罪名で起訴され、刑事裁判となった場合には、裁判員裁判となります。
裁判員裁判は一般の方が裁判員として裁判に参加し、通常の裁判とは手続的にも異なる点が多いため、裁判員裁判対象事件の弁護活動には専門的な知識や技術が不可欠となります(裁判員裁判の詳しい説明はこちら)。
弊所では、裁判員裁判対象事件の経験が豊富にあります。裁判員裁判対象事件には、偽造通貨行使罪の他に、殺人罪、殺人未遂罪、傷害致死罪、強盗致死傷罪、現住建造物等放火罪、不同意わいせつ致傷罪、不同意性交等致傷罪、覚醒剤取締法違反(覚醒剤の密輸)などがあります。
これらの犯罪で事件となってしまった方は、弊所までご相談ください。
弁護士法人ルミナス法律事務所横浜事務所



