記事を執筆した弁護士

弁護士法人ルミナス 代表
弁護士 中原 潤一
弁護士法人ルミナス代表弁護士。日弁連刑事弁護センター幹事、神奈川県弁護士会刑事弁護センター委員、刑事弁護実務専門誌編集委員等を務め、全国で弁護士向けの裁判員裁判研修の講師を多数務めている。冤罪弁護に精通し、6件の無罪判決を獲得。少年事件で非行事実なしの決定等の実績を有する。逮捕・勾留されているご依頼者を釈放する活動、冤罪事件の捜査弁護活動及び公判弁護活動、裁判員裁判等に注力している。
目次
| 1.はじめに |
| 2.検察官が控訴する事件の割合 |
| 3.検察官控訴事件の特徴 |
| 4.検察官控訴事件の流れ |
| 5.検察官控訴事件における弁護活動のポイント |
| 6.おわりに |
はじめに
日本の刑事裁判では三審制が採られており、第一審の判決に不服があれば控訴を、控訴審の判決にも不服があれば上告をすることができます。
そして、この不服申立ては、被告人だけではなく、検察官もすることができます。
今回は、第一審の判決に対して検察官が控訴した事件(検察官控訴事件)について、解説していきます。
検察官が控訴する事件の割合
実は、検察官が控訴をする事件というのは非常に少なく、最高裁判所事務総局が公表している司法統計年報によれば、令和5年に控訴がなされた事件の総数は4637件で、そのうち被告人側のみが控訴をした事件は4580件、検察官側のみが控訴をした事件が44件、双方から控訴をした事件が13件となっております。
全体の控訴件数(4637件)のうち、検察官側が控訴をした事件は合計57件なので、割合としては1%ほどしかありません。
令和6年においても、被告人側のみが控訴をした事件が4870件、検察官側のみが控訴をした事件が45件、双方が控訴をした事件が12件となっており、検察官が控訴をした事件の割合はやはり1%程となっております。
このように、検察官が控訴をするケースは非常に少ないと言えます。
検察官控訴事件の特徴
検察官控訴事件の特徴として、被告人側が控訴した場合に比べて控訴が棄却される割合が低いことが挙げられます。言い換えれば、検察官の控訴は、被告人側の控訴に比べて認められやすいと言えます。
上記司法統計年報によれば、令和5年に検察官が控訴した57件のうち、控訴が棄却されたのは17件で、割合にして約30%程しかありません。つまり、約70%は、検察官の控訴が認められているということになります。
それに対して、被告人側が控訴をした4593件のうち、控訴が棄却されたのは3401件で、その割合は70%を超えています。
令和6年においても、被告人側控訴の4882件のうちその70%以上に当たる3652件が棄却されているのに対し、検察官側控訴の棄却は57件のうち22件と、40%弱にとどまっています。
このように、検察官が控訴した場合には、被告人側が控訴をした場合に比べて控訴が棄却される確率が低くなっています。そうであるとすれば、検察官控訴は約70%が認容されてしまうことを前提に、準備をしなければなりません。
検察官控訴事件の流れ
検察官控訴事件では、検察官が控訴趣意書を裁判所に提出するため、被告人側はそれに対して答弁書を提出することになります。
検察官が新たな証拠の事実取調べ請求をした場合には、被告人側はそれに反対する意見も提出します。
検察官控訴事件における弁護活動のポイント
まず、控訴審弁護活動の経験が豊富でなければなりません。控訴審の手続きは、第一審の手続きと法律上異なるため、控訴審に関する刑事訴訟法上の知識を有した上で、豊富な経験が求められます。
そして、検察官の控訴趣意書を前提に、検察官の攻撃対象が何であり、弁護側として何を守らなければならないのかの見極めが極めて重要になります。
その上で、説得力のある答弁書を作成する力量が問われることになります。
おわりに
弊所でも、一審の無罪判決に対して検察官が控訴をした事件で、控訴審から弁護活動を引き受け、無事に控訴棄却判決を得た事例があります。第一審からご依頼を受けており、無罪判決が出たケースでも検察官控訴をされたことがありますが、それも無事に控訴棄却判決を得た事例があります。
検察官から控訴をされてしまった場合には、ぜひ一度弊所までご相談ください。
弁護士法人ルミナス法律事務所横浜事務所





