令和元年10月3日~4日にかけて、徳島県において開催された第62回日本弁護士連合会人権擁護大会に参加しました。

 

人権擁護大会は年に1度開かれ、日弁連の人権擁護活動の報告、人権問題に関する宣言・決議が採択されます。また、大会に合わせて、重要な人権問題をテーマにシンポジウムが開催されています。

 

今年の第一分科会のテーマは、「取調べ立会が刑事司法を変える~弁護人の援助を受ける権利の擁立を~」でした。

 

現在、日本では、弁護人を取調べに立ち会わせることを被疑者の権利と明示する規定はありません。他の国では、そのような規定があり、実際に活用されているにも拘らずです。シンポジウムでは、弁護人立会権についての制度が充実している、ヨーロッパ諸国やアメリカ、韓国の現状についての調査報告があり、いかに日本の刑事司法制度が後進的か改めて痛感しました。

 

取調べの空間は、圧倒的に捜査機関が有利な場です。取り調べる者と取り調べられる者は縦の関係にあり、その中で、被疑者がたったひとりで闘わなければなりません。一部の事件で取調べの可視化が導入されましたが、やはり、被疑者がひとりで立ち向かわなければいけない場であることに変わりない状況です。その取調べの場に弁護人が同席できれば、取調べる者と取調べられる者の関係は対等になります。

 

シンポジウムの中で、実際に身に覚えのない罪で取調べを経験した方々の生の声を聞く場面がありましたが、未だに、強引な取調べがされている現状に非常に危機感を覚えました。威圧や人格否定、決めつけなど、自白の強要ともいえる数々のエピソードに、弁護人による取調べへの立ち合いの必要性を強く、感じました。

 

捜査機関は、「捜査の秘密」「被疑者との信頼関係の構築が難しくなること」などを理由に立ち会いを拒否することが通常です。しかし、制度上、弁護人が取調べに立ち会うことを一切禁じる規定もありません。供述をするメリットがある類型の事件では、我々弁護人が積極的に申し入れをし、立ち合いの実績を地道に築いていくことにより、着実に制度化を進めていかねばなりません。

 

刑事弁護人として、依頼者の利益を護るため、そしてよりよい刑事司法制度の確立を目指し、日々の弁護活動の中で研鑽を積んでまいります。

 

弁護士法人ルミナス法律事務所横浜事務所

弁護士 中原潤一

 

刑事事件・少年事件を専門的に扱う
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