クレプトマニア(万引き)|実刑とした一審判決を破棄し、再度の執行猶予となった事案

事案の概要

前刑(万引き)の執行猶予期間中に、同じコンビニエンスストアで、2回、食料品を万引きしたという事案です。

第一審では、実刑判決が言い渡されました。

「再度の執行猶予を目指したい」というご本人からの相談を受けて、控訴審から弁護人となりました。

 

 

弁護活動の内容

①第一審の裁判官は、ご本人がクレプトマニアに罹患している旨の診断書が証拠として提出されているにもかかわらず、その診断を否定したうえで、本件万引きは、クレプトマニアの症状に因るものではなく、ご本人が自らの主体的判断に従って欲望の赴くままに行ったものであるとして、実刑判決が相当であると判断しました。

しかしながら、「精神障害の有無・程度」や「精神障害が犯行に与えた影響の有無・程度」については、その診断が臨床精神医学の本分であることから、精神科医の意見が証拠となっている場合には、合理的な理由がない限り、精神科の意見を十分に尊重して認定すべきであるとされています(最判平成20年4月25日刑集62巻5号155頁)。

そこで、まずは、上記診断を否定した第一審事実認定は、最高裁の理念に反するものであり、経験則・論理則に照らして著しく不合理なものであることを主張・立証しました。

 

②そして、本件万引きは、ご本人が抱えているクレプトマニアの症状に因るものであることを、ご本人の被告人質問、専門家証人の証言、各種医学論文などによって、立証しました。

 

③そのうえで、医療機関への相談、家族との環境調整等を行って、再犯防止のための治療体制が整っていることを主張・立証しました。

 

 

弁護活動の結果

控訴審では、犯行当時、ご本人がクレプトマニアに罹患していたという事実が正しく認定されました。

そして、再犯防止のためには治療を継続する必要があること、ご本人と家族の治療と再犯防止への真摯な取り組みが適切に評価された結果、実刑とした原判決を破棄して、再度の執行猶予判決を言い渡しました。



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