目次

1.不起訴処分となった事案
2.執行猶予判決を獲得した事案
3.少年事件|保護観察処分を獲得した事案
4.その他

 

 

不起訴処分となった事案

殺人未遂罪|勾留決定に対する準抗告が認容・釈放され不起訴処分となった事案

事案の概要

ご依頼者が、配偶者の方と喧嘩になって首を絞めたとされる事件でした。

殺人未遂罪で逮捕され、勾留されてから弁護人として選任されました。

ご依頼者は、首に手は当たったかもしれないが、首を絞めるつもりはなく殺すつもりもなかったと述べていました。

 

 

弁護活動の内容

配偶者の方との交渉

初回接見の直後に、被害者とされている配偶者の方と電話でお話をさせていただきました。

その段階では、配偶者の方としても、喧嘩になったこと自体は反省して欲しいものの、刑事事件として扱ってほしいという気持ちや刑罰を受けて欲しいという気持ちはないとのことでした。

翌日に配偶者の方が警察署で面会予定だと伺ったため、その面会後にお会いする約束をしました。

そして、配偶者の方との交渉を経て、事件に関しては示談が成立し、合意書を作成しました。さらに、弁護人が、配偶者の方から事情を伺い、処罰感情がないこと、ご依頼者との面会に行き話をしたこと、ご依頼者が勾留されていることで不利益が生じていること、面会だけでは不利益が解消されないことなどを書面にまとめ、作成しました。

 

勾留決定に対する準抗告申立て

配偶者の方のお話に加え、配偶者の方から連絡先を伺い、ご依頼者の仕事関係で現に重大な支障が出ていることを仕事の関係者から伺い資料化しました。

また、仮に釈放された場合、一旦別々に暮らすための準備を行い、同居予定のご親族から話を聞いた資料を作成しました。

その他にも、ご依頼者の仕事の予定が詰まっていることを示すため、カレンダーアプリの写真を資料化するなどしました。

これらの資料を添付し、弁護人に選任された翌日に、勾留決定に対する準抗告を申立てました。

 

申立書においては、示談が成立していることや一旦別々に暮らすということなどに加え、本件の実態は夫婦喧嘩であり、殺人未遂罪で逮捕勾留がされているものの、殺人未遂罪のまま裁判となる可能性は低い事案であることなどを主張しました。

 

 

弁護活動の結果

以上の弁護活動の結果、準抗告申立ての翌日に、弁護人の準抗告が認容され、ご依頼者は釈放されました。殺人未遂罪という罪名を過度に重視して勾留を維持するという判断も十分にあり得ましたが、裁判官は本件の実態を慎重に判断したものと考えられます。

また、その後事件については不起訴処分となりました。

 

 

否認事件・殺人未遂罪│不起訴処分となった事案

事案の概要

ご依頼者が、ご兄弟と喧嘩になって首を絞めたとされる事件でした。

殺人未遂罪で逮捕され、勾留されてからご依頼を受けました。

ご依頼者は、首を絞めたことは認めていたものの、殺意はなかったと否認をしていました。

しかし、逮捕されてすぐの取調べで殺意を認めているようにも読める供述調書を作成されてしまったとのことでした。

 

 

弁護活動の内容

ご兄弟の被害届の取下げ

ご依頼を受けてすぐに被害者とされているご兄弟とお話をさせていただきました。

お話をさせていただいた結果、ご兄弟としては現時点では被害感情は全くなく、被害届の取下げをしたいということでした。

ですので、すぐに被害届の取下書を作成していただきました。

 

 

勾留を争う

被害届の取下書を提出するとともに、すぐに勾留に対する準抗告を提出しました。

しかし、裁判所は、逮捕罪名が殺人未遂と重いことだけをもって、準抗告を棄却し、勾留を継続することを選択しました。

 

 

取調べへのアドバイス

ご依頼者は、意思に反して殺意を認めているようにも読める供述調書を作成されてしまったことを後悔されていました。

そこで、取調べに対してのアドバイスを具体的にして取り調べにあたっていただきました。

 

 

弁護活動の結果

以上の弁護活動の結果、ご依頼者は不起訴処分となりました。

殺意はなかったというご依頼者の主張が検察官に認められたという形になります。

しかし、勾留が解かれなかったことが非常に残念でした。

裁判所には、捜査機関が勝手に設定した罪名にとらわれず、実質的に判断していただきたいと思います。

 

 

否認事件・殺人未遂罪|不起訴処分となった事案

殺人未遂罪で、勾留されてからすぐにご依頼をいただきました。殺人未遂罪は起訴されれば裁判員裁判対象事件ですが、ご本人様は殺意がないことや正当防衛状況にあったことを訴え、殺人未遂罪の成立を争っていました。そこで、取調べに対する適切なアドバイスをしたうえ、ご本人様の主張を裏付けるような証拠の収集にあたりました。その結果、ご本人様は不起訴処分となりました。

 

 

殺人罪|不起訴処分となった事案

事案の概要

家族関係にある被害者1名を包丁で刺して殺してしまったとされる殺人事件でした。勾留されてからご依頼を受けました。

 

 

弁護活動の内容

すぐに接見に駆け付けご依頼者のお話を聞くと、明らかに精神疾患を抱えていることを疑わざるを得ない状況でした。

妄想型の統合失調症と思われ、ご本人には幻覚や幻聴であるという自覚はないものの、お話の内容からは幻覚や幻聴であることが強く疑われました。

本件は統合失調症による妄想の圧倒的な影響下で引き起こされた事件であり、殺人事件だとしても刑事処分としては不起訴が妥当であると考えました。

そこで、検察官に対して精神鑑定をするよう申し入れたところ、すぐに検察官はご依頼者を鑑定することとしました。

3カ月の鑑定留置を経て、犯行時に心神喪失状態にあったことが明らかになりました。

 

 

弁護活動の結果

その結果、ご依頼者は殺人事件でしたが、不起訴処分となり、医療観察法の手続きに従って入院となりました。

 

 

殺人未遂罪|示談が成立し、不起訴を獲得した事案

事案の概要

口論となって近くにあった刃物を振り回し、相手に軽い怪我を負わせてしまった事件でした。

ご依頼者は殺意を否認していましたが、殺人未遂罪として逮捕・勾留されてしまいました。

 

 

弁護活動の内容

ご依頼者は、殺意を否認しながらも、自らの行いを反省し、被害者の方に謝罪と被害弁償をしたいとの希望をお持ちでした。

そのため、勾留されてからすぐに被害者の方に謝罪と被害弁償の申し出をいたしました。

当然のことながら、当初は被害者の方はお怒りでしたが、丁寧に交渉を重ねた結果、ご依頼者のお気持ちが伝わり、謝罪と被害弁償をすることができました。

 

 

弁護活動の結果

その結果、ご依頼者は20日満期前に不起訴となりました。

ご依頼者の主張通り、殺意は認められず、傷害罪が成立することを前提に、怪我が軽く、被害者も処罰を望んでいないことが決め手になったものと思われます。

殺人未遂罪はそのまま起訴されてしまうと裁判員裁判対象事件となります。

そのような重い罪名であっても、不起訴になることをあきらめず、丁寧に示談交渉をすることが肝要です。

 

 

執行猶予判決を獲得した事案

裁判員裁判・殺人未遂罪+傷害罪|執行猶予判決を獲得した事案

事案の概要

①被害者の方に家族がだまされているのではないかと思い込み、強い不安に陥って、被害者の方に対し暴行を加えたという殺人未遂罪、及び、②それを制止しようとした方に対しても暴行を加え、怪我を負わせたという傷害罪の事案でした。本件は、裁判員裁判対象事件でした。

 

 

弁護活動の内容

上記のような思い込みや強い不安を有していたことには、ご本人の生育歴や複雑な家庭環境、障害特性などの影響があると思われました。そこで、事件の背景にある問題について、ご本人と共に向き合い、ご本人の生きづらさを少しでも解消し、そして二度と同じ過ちを犯さないために、精神科医・社会福祉士等の医療や福祉の専門家とも連携しながら情状弁護活動を行いました。具体的には、ご本人・ご家族・専門家(主治医や社会福祉士など)と面談を重ねながら、ご本人の更生支援計画書を策定したうえで、治療環境の整備、カウンセリング・支援機関の確保、家族間調整、その他種々の環境調整を行いました。そのような活動によって、ご本人に寄り添い、更生に向けた活動をサポートしながら、被害者の方々への謝罪と示談交渉を行いました。

また、本件は裁判員裁判対象事件でしたので、裁判では、法廷弁護技術を駆使して、裁判員の方々にわかりやすい主張・立証活動に努めました。

 

 

弁護活動の結果

ご本人の反省の気持ち、更生に向けた真摯な取り組み、更生環境が整備されたこと、被害者の方々との間で示談が成立したことなどの事情が評価された結果、検察官の求刑は懲役5年6月であったのに対し、保護観察付きの執行猶予判決となりました。

 

 

裁判員裁判・殺人罪|検察官求刑6年に対し、執行猶予判決となった事案

ご本人は長期にわたる虐待経験を有しており、そのことが、ご本人の精神状態や本件の動機に影響を与えていました。

 

そのようなご本人に寄り添い、更生に向けた支援環境をゼロから整えるべく、精神科医や社会福祉士等の医療・福祉の専門家と連携しながら、駆け回りました。

裁判員裁判の法廷では、精神科医・社会福祉士にも証言いただき、本件の背景事情や、今後の支援体制等について、丁寧に裁判員の方々に説明しました。

ご本人は、過去の辛い体験を言い訳にすることなく、自分の言葉で反省の気持ちを述べ、更生を誓いました。

 

検察官の求刑は、懲役6年(実刑)でした。

弁護人は、懲役3年・執行猶予5年・付保護観察を求めました。

 

判決では、弁護人の主張がほぼ全面的に受け入れられ、懲役3年・執行猶予5年・付保護観察(求刑の50%+執行猶予)となりました。

 

 

少年事件|保護観察処分を獲得した事案

少年事件・殺人未遂罪+強盗致傷罪+強盗罪|逮捕されるも、傷害と暴行の幇助と認定され保護観察処分を獲得した事案

事案の概要

殺人未遂、強盗致傷、強盗罪の共同正犯として逮捕された少年の事案でした。勾留されてからご依頼を受けました。

 

 

捜査段階での弁護活動の内容

少年から話を聞くと、数人同士の喧嘩に居合わせたものの、少年自身はその喧嘩の内容や理由についてほとんど理解しておらず、実際に喧嘩にも全く関与していない状態でした。そこで、捜査段階で少年がたまたま喧嘩の場に居合わせただけであって、少年自身は関係がないことを検察官に伝えました。その結果、殺人未遂については嫌疑なしで不送致となり、さらに強盗致傷及び強盗の共同正犯ではなく、強盗致傷及び強盗の幇助犯として家庭裁判所に送致されました。

 

 

少年審判での弁護活動の結果

さらに少年審判では、強盗の共謀及び故意について争ったところ、強盗致傷、強盗については非行事実がなく、傷害と暴行の限度で幇助犯と認定されました。最終的な審判では保護観察処分となりました。

 

 

その他

殺人未遂罪|殺意が否定され、傷害罪で起訴された事案

事案の概要

約束を守らない知人への怒りから、とっさに、近くにあった刃物を押し当てて、相手に軽いけがを負わせてしまったという事案です。被害者の方の怪我に気づいて、すぐに119番通報をしましたが、駆け付けた警察官に殺人未遂罪で逮捕されてしまいました。

 

 

弁護活動の内容

殺人未遂罪は成立しないとの主張

ご本人は、殺意を否定していました。そこで、検察官に対する意見書を作成し、行為態様・怪我の程度などの状況証拠を具体的に指摘して、本件では、傷害罪が成立するにとどまり、殺人未遂罪はしない旨の主張・立証活動を行いました。

 

一般情状

被害者の方に対する実質的な被害弁償を行いました。

 

ご本人は、統合失調症等の精神障害を抱えていたので、主治医の精神科医や、鑑定留置時(※)の担当医とも面談を重ねる等して、ご本人の今後の治療計画等を策定しました。

 

鑑定留置とは?

<刑事訴訟法第167条1項>
被告人の心神又は身体に関する鑑定をさせるについて必要がある時は、裁判所は、期間を定め、病院その他の相当な場所に被告人を留置することができる。

刑事責任能力の有無を判断するために、起訴前の段階で、検察官の請求を受けて実施される本格的な鑑定をいいます。鑑定留置場所は、遠方の病院となることもあります。本件でも、鑑定留置場所は、東京都外にある比較的遠方の病院となりましたが、ご本人の精神的な支援、殺意を争うための弁護活動、医師との面談等のために、何度も、病院に足を運びました。

 

弁護活動の結果

逮捕・勾留罪名は「殺人未遂罪」でしたが、上記のような弁護活動を通じて、殺意が否定された結果、起訴罪名は「傷害罪」に変更されました。

多数の裁判員裁判 担当実績多数の裁判員裁判 担当実績

 

刑事事件・少年事件を専門的に扱う
弁護士法人ルミナス法律事務所
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