窃盗罪(万引き)|実刑とした一審判決を破棄し、再度の執行猶予となった事案

事案の概要

約一年前に窃盗罪で執行猶予付きの判決を受けた方が、その執行猶予期間中に、スーパーで食料品を万引きしたという事案です。この事件では、ご依頼者は逮捕されてしまいましたが、勾留請求は却下され、ご本人は勾留されることなく裁判を受けることになりました。

第一審では、ご本人が窃盗症(いわゆるクレプトマニア)等に罹患しており、再度の執行猶予を付すことが相当であるとして弁護活動をしましたが、裁判所は聞く耳をもたずご本人を実刑にする判決をしました。

これに対して、再度の執行猶予が妥当であるということを明らかにするため、控訴をすることになりました。

 

 

弁護活動の内容

不当な第一審判決

第一審の裁判官は、クレプトマニアに罹患しておりその影響下で行われた犯行であることを立証するための弁護人からの医師の証人尋問請求を却下し、本件万引きは、クレプトマニアの症状とは関係なくご本人が自ら行ったものであるとして、実刑判決にしました。

しかしながら、「精神障害の有無・程度」や「精神障害が犯行に与えた影響の有無・程度」については、その診断が臨床精神医学の本分であることから、精神科医の意見を聞かなければわからないはずです。第一審は、弁護人から立証の機会を奪い、裁判官が精神科医に成り代わって、「病気の影響はない」と断じた不当なものでした。

 

 

控訴審での弁護活動

そこで、まずは、上記のように医師の証人尋問請求を却下した第一審は、裁判官が勝手に精神科医に成り代わったものであり、裁判官に与えられた裁量の逸脱・濫用があり,医師の尋問なくなされた事実認定は経験則・論理則に照らして著しく不合理なものであることを主張・立証しました。

そして、本件万引きは、ご本人が抱えているクレプトマニアの症状に因るものであることを、ご本人の被告人質問、医師の診断書や意見書、各種医学論文などによって、立証しました。

そのうえで、医療機関への相談、家族との環境調整等を行って、再犯防止のための治療体制が整っていることを主張・立証しました。

 

 

弁護活動の結果

原判決破棄、逆転再度の執行猶予判決

控訴審では、第一審で却下された医師の診断書や意見書が採用されました。そして再犯防止のためには治療を継続する必要があること、ご本人と家族の治療と再犯防止への真摯な取り組みが適切に評価された結果、実刑とした原判決を破棄して、再度の執行猶予判決を言い渡しました



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