保護責任者遺棄(致死)

保護責任者遺棄(致死)の弁護士へのご相談・目次

1. 保護責任者遺棄(致死)とは
2. 法定刑
3. 保護責任者遺棄(致死)事件等の逮捕・勾留の状況
4. 争いになりうるポイント
5. 弁護活動のポイント

 

 

保護責任者遺棄(致死)とは

保護責任者遺棄とは、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかった」行為と規定されています(刑法第218条)。

 

法定刑

保護責任者遺棄罪

3月以上5年以下の懲役(刑法第218条)

保護責任者遺棄致死罪

3年以上20年以下の懲役(刑法第219条、205条)

 

 

保護責任者遺棄(致死)事件等の逮捕・勾留の状況とは

2022年検察統計年表(最新版)によると、遺棄事件の逮捕・勾留の状況は、以下のとおりです。

 

  • 遺棄事件には、遺棄罪、遺棄致死傷罪、保護責任者遺棄、保護責任者遺棄致死傷罪が含まれます。

 

逮捕の状況

検挙された件数 138件
逮捕された件数 59件
逮捕されていない件数 79件
逮捕率(※1) 約43%

(※1)小数点第一位を四捨五入しています。

 

 

勾留の状況

逮捕された件数 59件
検察官が勾留請求せず、釈放した件数 2件
裁判官が勾留した件数 53件
裁判官が勾留しないで、釈放した件数 3件
その他 1件
勾留率(※2・3) 約90%

(※2)裁判官が勾留した件数/逮捕された件数

(※3)小数点第一位を四捨五入しています。

 

 

 

 

争いになりうるポイント

保護責任者遺棄罪の対象となる行為は、「遺棄」すること、又は「生存に必要な保護をしなかった」ことです。「遺棄」は、保護の必要がある者を場所的に移動させて放置したり、置き去りにしたりする行為が典型的です。

これに対し、「生存に必要な保護をしなかった」は、不保護と呼ばれますが、近くで何もしなかったことなど、不作為が対象になります。そのため、(救助活動など)何かをしなければならない義務が発生していることが前提となります。この何かをしなければならない義務は作為義務といわれます。どのような場合に作為義務が生じるのかについては、学問上も様々な説があり、必ずしも一義的とはいえません。事実関係については概ね争いがなかったとしても、この作為義務があったのかについて、争う余地があることは十分にあり得ます。

 

また、被害者の救命可能性に関連して、犯罪の成否や、不作為と死亡結果との間の因果関係が争いになることがあり得ます。

救命可能性が全くないような場合には、法は不可能を強いることはできない以上、そもそも保護責任者遺棄罪も保護責任者遺棄致死罪も成立しないと考えられています。

救命可能性が全くないとはいえず、保護責任者遺棄罪が成立しうるときに、保護責任者遺棄致死罪が成立するかについては、救命が合理的な疑いを超える程度に確実であることが求められています(最三小決平1・12・15刑集43・13・879)。この点について、不作為と死亡結果との間の因果関係が争いになることがあり得ます。

 

 

弁護活動のポイント

前述のとおり、保護責任者遺棄致死罪は、前提となる事実関係には争いがなくても、法的な評価が争いになりえます。保護責任(作為義務)があるのか、不作為と死亡結果との間に因果関係があるのか、などが争いになり得ます。

逮捕されている事件では、まずは、すぐに弁護士がご本人の接見に向かいます。ご本人のお話を聴取したうえで、その日以降の取調べに対する対応をアドバイスすることが重要です。 捜査段階では、法的な評価が争いになり得ることを前提に、取調べに対する対応や証拠収集を行う必要があります。

 

そして、保護責任者遺棄致死罪は、裁判員裁判対象事件ですので、それらの知識を前提に、専門的なスキルが要求される犯罪類型といえます。裁判員裁判対象事件として起訴されれば、法医学等の専門的な知見が証拠となることもあります。専門家の証言等について、裁判官・裁判員に、効果的かつ説得的に伝えたり、前提に誤りがあることを顕出したりするためには、専門的な尋問技術等が不可欠です。また、協力していただける専門家に意見を聞いたり、証言等を依頼したりすることも検討するべきです。医師等の専門家に協力してもらい、立証活動をしていく前提として、弁護士自身も、最低限の知識を持っていなければなりません。

仮に、事実関係、犯罪の成立を認めるような場合には、被害者のご遺族に対する謝罪および慰謝の措置が講じられているか否かも重要な要素です。

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