保護責任者遺棄(致死)
法定刑
保護責任者遺棄致死罪
3年以上20年以下の懲役(刑法第219条、205条)
保護責任者遺棄事件の逮捕・勾留の状況
2020年検察統計年表(最新版)によると、遺棄事件の逮捕・勾留の状況は、以下のとおりです。
- 遺棄事件には、遺棄罪、遺棄致死傷罪、保護責任者遺棄、保護責任者遺棄致死傷罪が含まれます。
逮捕の状況
検挙された件数 | 97件 |
---|---|
逮捕された件数 | 38件 |
逮捕されていない件数 | 59件 |
逮捕率(※1) | 約39% |
(※1)小数点第一位を四捨五入しています。
勾留の状況
逮捕された件数 | 38件 |
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検察官が勾留請求せず、釈放した件数 | 0件 |
裁判官が勾留した件数 | 37件 |
裁判官が勾留しないで、釈放した件数 | 0件 |
その他 | 1件 |
勾留率(※2・3) | 約97% |
(※2)裁判官が勾留した件数/逮捕された件数
(※3)小数点第一位を四捨五入しています。
解説
保護責任者遺棄致死罪は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかった」場合に人を死亡させたときに成立するとされています。
殺人罪などとは異なり、「何もしなかったこと」が処罰の対象とされる罪ですので、何かをする義務があったのか(作為義務といいます)という点などが争いになることが多い犯罪類型だと言えます。
保護責任者遺棄致死罪は,裁判員裁判対象事件です。
弁護活動のポイント
前述のとおり、保護責任者遺棄致死罪は、前提となる事実関係には争いがなくても、作為義務があるのか等、法的な評価が争いになりえます。
そして、裁判員裁判対象事件ですので、それらの知識を前提に、専門的なスキルが要求される犯罪類型といえます。
仮にすべてを認めるような場合には、被害者のご遺族に対する謝罪および慰謝の措置が講じられているか否かも重要な要素です。