脅迫
脅迫の弁護士へのご相談・目次
1.条文 |
2.脅迫罪における「脅迫」とは |
3.法定刑 |
4.脅迫事件の逮捕・勾留の状況 |
5.解説 |
6.弁護活動のポイント 逮捕勾留されている場合 不起訴処分を目指す交渉 |
7.脅迫事件の解決実績 |
条文
脅迫罪は、刑法第222条に規定されています。
刑法第222条(脅迫)
1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2.親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
脅迫罪における「脅迫」とは
脅迫罪における「脅迫」とは、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知することをいうと解されています。
また、加害の対象は、相手方の生命、身体、自由、名誉又は財産(1項)に加え、相手方の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産(2項)も含まれます。ここでいう「親族」は民法上の親族、すなわち六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族をいいます(民法725条)。
たとえば、「ぶっ殺すぞ」と怒号し、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知したような場合に、脅迫罪が成立します。
法定刑
脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」となります。
脅迫事件の逮捕・勾留の状況
2023年検察統計年報(最新版)によると、脅迫事件(ここでいう脅迫事件には、脅迫罪、強要罪が含まれます。)の逮捕・勾留の状況は、以下のとおりです。
脅迫事件のうち、逮捕されたケースは約56%、逮捕されずに在宅事件として取り扱われたケースが約44%となっています。
また、逮捕されたケースのうち、勾留されたケースは約91%となっています。
逮捕の状況
検挙された件数 | 2675件 |
---|---|
逮捕された件数 | 1491件 |
逮捕されていない件数 | 1184件 |
逮捕率(※1) | 約56% |
(※1)小数点第一位を四捨五入しています。
勾留の状況
逮捕された件数 | 1491件 |
---|---|
検察官が勾留請求せず、釈放した件数 | 50件 |
裁判官が勾留した件数 | 1359件 |
裁判官が勾留しないで、釈放した件数 | 36件 |
その他 | 46件 |
勾留率(※2・3) | 約91% |
(※2)裁判官が勾留した件数/逮捕された件数
(※3)小数点第一位を四捨五入しています。
解説
脅迫罪は、相手方又は相手方の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産について、一般に人を畏怖させるに足りる害悪を告知した場合に成立します。典型的には、相手方を「ぶっ殺す」等殺害予告などした場合に成立します。
このような脅迫罪の処分の重さを決める際には、まず、①脅迫内容の危険性・具体性の程度や②脅迫することになった動機・経緯等が重視されます。
そのうえで、③ご本人の反省状況、④被害者との間における示談の成否、⑤再犯可能性の有無・程度等が総合考慮され、最終的な処分が決定します。
脅迫罪の場合、初犯の方であり、被害者の方に心から謝罪し、示談が成立した場合には、不起訴処分(起訴猶予)となるケースが多いです。
もっとも、上述のとおり、半数以上のケースで逮捕され、逮捕されたケースの多くが勾留され、身体拘束が継続する傾向があります。これは、被害者への害悪の告知をしている事案であることから、さらなる被害者への接触する可能性が高いと判断されやすいためと考えられます。
弁護活動のポイント
逮捕・勾留されている場合
逮捕・勾留されている場合には、身体拘束からの釈放を目指す弁護活動を行います。
弁護士がご本人の留置されている刑事施設にかけつけて接見し、ご本人から事件の具体的内容・経緯、被害者とされている人との人的関係や接触可能性等の事情を直接お聞きしたうえで、身元引受人の確保や当該被害者とされている方との接触可能性が低いことを疎明するなど、検察官・裁判官と釈放に向けた交渉を行います。
不起訴処分を目指す交渉
事実関係に争いがない場合
上述のとおり、検察官が処分を判断する際には、被害者への謝罪・示談の成否が重視されます。
被害者の方に心から謝罪し、示談が成立したような場合には、初犯の方であれば、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性が高いです。
初犯でない方の場合にも、被害者の方との示談の成否は重視され、示談が成立しており、害悪の告知の内容が軽微であるような場合には、不起訴処分(起訴猶予)となる可能性はあります。
また、なぜ脅迫するに至ったかという経緯について振り返りを行い、再度同種の行動に出ないようにするためにはどうすべきか、といった点を明確化することも重要です。
事実関係に争いがある場合(無罪を主張する場合)
無罪を主張するケースにおいては、冤罪弁護活動を行います。
冤罪弁護活動の具体的な内容は個々のケースによって様々です。脅迫行為自体を否定するのか、害悪の告知の程度を争う(一般に人を畏怖させるに足りる害悪の告知であることを否定する)のか等、その争い方によって、弁護活動の内容は異なってきます。警察官や検察官に対する取調べ対応、供述調書への署名・押印を求められた場合の対応、こちらの主張に沿う証拠を収集・保全する方法など、できる限り早期に弁護士から適切なアドバイスを受けることが重要です。
脅迫事件の解決実績
以下の記事では、当事務所の脅迫事件の解決実績の一部をご紹介しています。