覚醒剤
法定刑
覚醒剤取締法(旧覚せい剤取締法)
罪名 | 法定刑 |
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覚醒剤使用 | 10年以下の懲役 |
覚醒剤所持 | 10年以下の懲役 |
覚醒剤営利目的所持 | 1年以上の有期懲役又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金 |
覚醒剤譲渡 | 10年以下の懲役 |
覚醒剤営利目的譲渡 | 1年以上の有期懲役又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金 |
覚醒剤取締法違反事件の逮捕・勾留の状況
2021年検察統計年表(最新版)によると、覚醒剤取締法違反事件の逮捕・勾留の状況は、以下のとおりです。
逮捕の状況
検挙された件数 | 12734件 |
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逮捕された件数 | 8954件 |
逮捕されていない件数 | 3780件 |
逮捕率(※1) | 約70% |
(※1)小数点第一位を四捨五入しています。
勾留の状況
逮捕された件数 | 8954件 |
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検察官が勾留請求せず、釈放した件数 | 24件 |
裁判官が勾留した件数 | 8869件 |
裁判官が勾留しないで、釈放した件数 | 16件 |
その他 | 45件 |
勾留率(※2・3) | 約99% |
(※2)裁判官が勾留した件数/逮捕された件数
(※3)小数点第一位を四捨五入しています。
解説
覚醒剤取締法違反や大麻取締法違反の罪で逮捕された場合には、極めて高い確率で勾留されてしまうのが現状です。
使用や、営利目的ではない所持で、事実を認めている場合には、10日間の勾留の上、公判請求となるケースがほとんどであるといえます。
一方で、公判請求された後の保釈請求については、事実を認めている場合で、前科前歴等がない場合には認められやすい傾向にあります。
判決については、何回目の裁判か(=同種前科がどれくらいあるか)によってほぼ定型的と言っても過言ではないほど、量刑相場が固定されているのが特徴と言えます。
弁護活動のポイント
以上のように、ほぼ間違いなく10日間勾留されてしまいますので、この10日間の間に、裁判で主張立証すべきことをご相談させていただくことになります。
特に、覚せい剤を使用してしまっているようなケースでは、逮捕・勾留されている段階で依存症に陥ってしまっているケースがほとんどですので、薬物依存からの脱却をどのようにはかっていくのかを一緒に考えなければなりません。
当事務所では、薬物依存症の方へ、薬物に頼らない本来のご自分を取り戻すためのお手伝いさせていただいております。
ご希望がございましたら、関係機関等への紹介をいたしますので、遠慮なくお申し付けください。
また、覚醒剤取締法違反被疑事件では、職務質問が端緒となって刑事事件に発展することが多いです。捜査機関が、証拠を収集する過程で、特に所持品検査や採尿において刑事訴訟法や憲法では認められていないような違法な捜査にはしることもあります。
違法捜査の内容によっては、不起訴・無罪となるような事例もあります。
そのため、どのような捜査が行われたのか慎重に聴取し、判例等を検討して、証拠が違法に収集されていることを主張することができないか検討していくことも大切な弁護活動となります。
判例では、「証拠物の押収等の手続に、憲法35条及びこれを受けた刑訴法218条1項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来の違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである。」(最高裁53年9月7日第一小法廷判決)とされています。
もし、起訴され、違法に収集された証拠に基づいた認定をすべきではないと主張する場合には、①令状主義の精神を没却するような重大な違法があること、②将来の違法な捜査の抑制の見地からして相当でないことに注力して弁護活動をしていくことになります。