クレプトマニア(窃盗症)

クレプトマニアとは?

クレプトマニアとは、窃盗症、病的窃盗(窃盗癖)などとも呼ばれていますが、個人的に用いるものでも、または金銭的価値のあるものでもないのに、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返されてしまうという精神障害です。

 

何度逮捕されても、社会的地位があっても、十分なお金があっても、捨ててしまうものであっても、万引きをするのが止められない。

そのような症状がある場合、万引きが止められない原因は、ご本人の意思の問題(意思の弱さ)ではなく、クレプトマニアという病気の影響かもしれません。

 

 

クレプトマニアの特徴

クレプトマニアの方も、盗みたいという衝動がおかしいものであることに気づいていますし、盗む行為が悪いことだということも十分認識しています。逮捕されることを恐れ、盗んだことで罪悪感を抱くこともよくあります。

 

過食症や拒食症といった「摂食障害」をはじめとして、「気分障害」「不安障害」「人格障害」などがクレプトマニアに伴っていることもよくあります。

傾向として、女性に多い傾向があると言われています。

 

有病率

DSM-Ⅴによると、「窃盗症は万引きで逮捕された人のおよそ4~6%にみられる。一般人口における有病率は非常にまれであり、約0.3~0.6%である。女性は男性より多く、3:1の比率である。」とされています。

 

 

クレプトマニアの診断基準

クレプトマニアの診断基準として、以下のものが用いられています。

 

「診断基準:DSM-Ⅴ」~窃盗症

DSM-Vとは、「精神疾患の診断・統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の最新版である第5版のことです。

 

基準 内容
A 個人的に用いるものでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B 窃盗におよぶ直前の緊張の高まり。
C 窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感。
D 盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または幻覚に反応したものでもない。
E 盗みは、行為障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

 

「診断基準:ICD-10」~病的窃盗(窃盗癖)

ICD-10とは、「国際疾病分類」(International Classification of Diseases)の最新版である第10版のことです。

 

診断ガイドライン

患者は通常、行為の前には緊張感が高まり、その前や直後には満足感が得られると述べる。

通常、何らかの身を隠す試みがなされるが、そのためにあらゆる機会をとらえようとするわけではない。

窃盗はただ1人でなされ、共犯者と一緒に実行されることはない。

患者は店(あるいは他の建物)から窃盗を働くというエピソードの間に不安、落胆、そして罪悪感を覚えるが、それでも繰り返される。

この記述のみを満たし、しかも以下にあげるいずれかの障害から続発しない例はまれである。

 

鑑別診断

病的窃盗は以下のものから区別されなければならない。

ⓐ明白な精神科的障害なしに繰り返される万引き(窃盗行為はより注意深く計画され、個人的な利得という明らかな動機がある場合)

ⓑ器質的精神障害、記憶の減弱および他の知的能力の低下の結果として、商品の支払いを繰り返して怠ること

ⓒ窃盗を伴ううつ病性障害、うつ病患者のあるものは窃盗を行い、うつ病性障害が続く限りそれを反復することがある

 

 

弁護活動のポイント

クレプトマニアを抱えている方であっても、万引きには被害者がいらっしゃいますので、まずは被害弁償をしなければなりません。被害者に対し、丁寧に謝罪の気持ちをお伝えし、被害弁償・示談交渉を行います。

 

それを前提として、クレプトマニアは精神障害ですから、「刑罰による矯正教育」をいくら施したところで何の意味もありません。

むしろ、専門的な医療機関と連携し、医学的な見地からクレプトマニアの問題と向き合わなければなりません。

クレプトマニアの方に必要なのは、刑罰ではなく治療であると当事務所では考えています。

 

当事務所では、専門的な医療機関へご紹介し、クレプトマニアを治療するための環境整備のお手伝いをさせていただいております。弁護士が、主治医やカウンセラー、ソーシャルワーカー等と面談をすることもよくあります。

 

なお、検察官からは「盗んだ物は、個人的に使用するためのものだから、DSM-ⅤのA基準を満たさず、クレプトマニアではない。」という主張がなされることがよくあります。しかし、クレプトマニアの方であっても、盗んだ物を一度も使用したことがない、という人はほとんどいません。A基準を文言通りに厳格に適用すると、この基準を満たすクレプトマニア患者は、ほとんどいなくなってしまいます。そこで、A基準は、柔軟に解釈すべきであると解されています。A基準の本質は、後段部分、すなわち、「物を盗もうとする衝動に抵抗できない」という症状にあると考えるべきです。

 

クレプトマニアの方であっても、万引きを重ねれば重ねるほど、刑事罰は重くなります。【不起訴処分→略式請求(罰金)→執行猶予判決→実刑判決】というように、どんどん、刑事罰は重くなっていきます。もし執行猶予期間中に、再度万引きをしてしまった場合には、原則として実刑となり、刑務所に行かなければならなくなってしまいます。そのようなことにならないためには、できる限り早期に、専門的な治療につながることが大切です。

 

当事務所では、医療機関と連携しながら、クレプトマニアの方の治療と更生への取り組みをサポートし、ご家族の皆さまの支援のお手伝いをしております。

 

クレプトマニア患者の方の支援に関する研修会

クレプトマニア患者の方を支援し、病気からの回復と真の再犯防止を図るためには、法的な助言・サポートだけでは不十分であり、司法・医療・福祉の各分野の専門家が連携して支援を行うことが重要です。当事務所の弁護士は、医療・福祉の専門家と連携しながら、クレプトマニア患者の方、ご家族の皆様を支援するために、クレプトマニアに関する研修会等に参加して、日々研鑽に努めております。

 

<研修会の一例>

 

 

クレプトマニアの方による万引き事件の解決実績(一例)

逮捕からの早期釈放

 

刑事裁判を回避

 

 

執行猶予判決を獲得

 

再度の執行猶予判決を獲得(執行猶予中の再犯)

 

 

 

 

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