示談交渉の豊富な経験・実績
目次
刑事事件で被害者がいる事件の場合、起訴・不起訴を決める捜査段階でも、起訴されて判決を受けることになる裁判段階でも、示談は大きな問題となります。
事実を認める事件の場合、示談をすることで、不起訴や執行猶予になる可能性を高めることができ、そうでなくても刑を軽くする事情として考慮される可能性が高いといえます。
そのため、事実を認める事件の場合は、多くの場合で、可能な限り示談をする努力をした方がよいといえます。
刑事事件の示談を希望するときは、弁護士に依頼をすることが最善です。
当事務所の弁護士は、弁護士会で刑事事件の示談交渉について研修講師を務めるなど、示談交渉についての豊富な知見と経験を有しています。
実際に、示談が成立した結果、不起訴処分や執行猶予判決を獲得した実績も多数あります。
示談について弁護士へご相談をご希望の方は、当事務所まで、ご連絡ください。
示談交渉をする刑事事件
刑事事件で被害者がいる事件の場合、示談交渉を検討します。
示談交渉のご相談が多い刑事事件は、以下のような犯罪です。
財産犯罪:万引き、置き引き、窃盗、強盗、強盗致傷(裁判員裁判)、詐欺、特殊詐欺、横領、背任、器物損壊
暴力犯罪:暴行、傷害、傷害致死(裁判員裁判)、殺人未遂(裁判員裁判)
交通犯罪:過失運転致傷(交通事故)
その他犯罪:放火、偽造通貨行使(裁判員裁判)など
後でくわしくご説明しますが、起訴されれば裁判員裁判となる重大な事件の場合でも、捜査段階で示談が成立した場合には、不起訴処分となる可能性があります。
被害者がいる刑事事件では、できる限り早期に示談交渉を行うことが重要です。
示談交渉をするメリット
被害者がいる刑事事件で、示談が成立した場合には、刑を軽くする事情として考慮されます。
なぜ示談が有利に考慮されるかについては、事後的に犯罪行為の違法性が減少するという考え方、犯罪行為をしたことの責任が減少するという考え方、示談をすれば刑が軽くなることを示すことで被害回復を促進するという考え方、本人の反省や努力の現れとして再犯防止の観点から有利に考慮する考え方など様々あります。
実際の事件でも、どのように考慮されるかは様々ですが、ご本人に有利な事情として、考慮されることが多いといえます。
以下では、刑事手続の段階毎に、示談が刑事処分にどのように影響するのかについて、説明します。
刑事事件化する前の段階の示談交渉
たとえば、被害者の方が、警察に相談をしているけれども、まだ被害届は提出していないという段階で、示談交渉を行うことがあります。
この場合、示談が成立し、今後被害届や告訴状を提出しないという合意ができれば、刑事手続に移行することなく解決を図ることができる可能性が高いといえます。
実際に、被害届提出前の示談交渉のご依頼を受けて、示談が成立した結果、刑事手続に移行することなく解決した実績があります(例:不同意性交等致傷、詐欺など)。
捜査段階の示談交渉(裁判になる前)
捜査段階の示談交渉には、2つの意味があります。
逮捕・勾留されている場合、釈放の可能性が高まります
1つ目は、逮捕・勾留されている事件の場合、示談が成立すれば、釈放される可能性が高まります。
被害者がいる刑事事件の場合、被害者に働きかけをする可能性があり、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」(刑事訴訟法60条1項2号)として、勾留されることがあります。
しかし、示談が成立した場合には、そのような可能性はなくなりますので、弁護士は、示談成立後すぐにその旨主張・立証して、ご本人の釈放を求めます。
実際に、逮捕・勾留されている事件で、示談が成立した結果、その日のうちにご本人が釈放された実績があります(例:不同意わいせつ、不同意性交等、万引きなど)。
不起訴の可能性が高まります
2つ目は、捜査段階、すなわち、検察官が起訴・不起訴の判断をする前に、示談が成立した場合には、不起訴となる可能性が高まります。
たとえば、前科・前歴のない方が、万引きや暴行、痴漢、盗撮など比較的軽微な類型の事件を起こしてしまったケースで、示談が成立した場合には、不起訴処分となる可能性が高いといえます。
不同意わいせつ(改正前:強制わいせつ)、不同意性交等(改正前:強制性交等)などの重い類型に属する性犯罪や、1000万円を超えるような高額の横領事件、不同意わいせつ致傷(改正前:強制わいせつ致傷)、不同意性交等致傷(改正前:強制性交等致傷)、強盗致傷などの裁判員裁判対象事件においても、示談が成立した場合には、不起訴処分となることがあります。
実際に、上記のようなケースで、不起訴処分を獲得した実績があります。
同種前科がある場合(たとえば、痴漢の前科がある方が、再び痴漢をしてしまった場合)は、示談が成立したとしても、起訴(略式起訴を含みます)される可能性が高いといえます。
しかし、被害者の方へ誠実に謝罪を尽くした結果、ご本人を許すという内容の示談が成立し、かつ、二度と同じことを繰り返さないための再犯防止に向けた具体的な取り組みを行っている場合には、再度、不起訴処分となることもあります。
実際に、上記のようなケースで、不起訴処分を獲得した実績があります(例:痴漢、盗撮、万引きなど)。
公判段階の示談交渉(裁判になった後)
起訴され刑事裁判となった場合でも、示談が成立したことは、ご本人に有利な事情として、判決で考慮されます。
執行猶予が付されるか否かが問題となるケースでは、示談が成立したことは、執行猶予となる可能性を高める事情となります。
実際に、複数のわいせつ行為について起訴されたケース、実刑可能性が高い振り込め詐欺、不同意わいせつ致傷(改正前:強制わいせつ致傷)・殺人未遂・通貨偽造行使などの裁判員裁判でも、示談が成立したことが有利な事情として考慮されて、執行猶予判決を獲得した実績があります。
もっとも、示談すれば不起訴になる、執行猶予となるというものではなく、犯罪行為の内容やその他の事情にもよるので、どの程度考慮されるかは事件によって様々であることには注意しなければなりません。
刑事事件においては、示談交渉と同じように、再犯防止という観点も重要となります。
示談交渉を尽くした上で、二度と同じ過ちを犯さないための具体的な取り組みをすることが重要です。再犯防止に向けた取り組みについても、弁護士が全力でサポートします。
示談交渉を弁護士に依頼するメリット
示談交渉の窓口は弁護士が最善
刑事事件では、多くの場合、被害者は、加害者に自分の名前や連絡先を教えることに不安を抱いています。
そのような不安なく、安心してお話していただけるように、示談交渉の窓口は弁護士に依頼することが最善といえます。
検察官から「示談を考えるのであれば、弁護士を選任してください」と言われて、ご相談にいらっしゃる方も多くいます。
このことは、被害者がいる刑事事件の場合、検察官も、示談交渉をすることが重要であり、示談交渉をする場合には弁護士が窓口となるべきであると考えていることを示しています。
示談書の作成を弁護士に依頼できる
示談書に書く内容は、当事者が自由に決めることができます。
そのため、ケース毎に、示談金の金額、被害者の不安を軽減するための措置(接触禁止条項など)をどのように定めるか、示談によって処罰感情が緩和された場合(ご本人を許すという意思表示を受けた場合など)の書き方等について、慎重に検討して、示談書を作成する必要があります。
示談金の金額は、ケース毎に様々な事情を考慮して決定しますので、予め決められた金額というのはありません。
もっとも、過去の裁判例に基づく相場的な金額や、罰金刑になった場合にどのくらいの金額となるかといったことが参考となりますので、弁護士と相談して検討することが望ましいといえます。
適切な内容の示談書を作成するためには、刑事弁護の専門家である弁護士に依頼することが最善といえるでしょう。
示談成立後の処分交渉を依頼できる
示談が成立すれば、かならず不起訴や執行猶予となるわけではありません。
示談が成立したことを踏まえて、検察官と不起訴に向けた交渉をしたり、刑事裁判において執行猶予判決を求めるための弁護活動を行うことなどが重要です。
このような弁護活動は、刑事弁護の専門的な知識が必要であり、通常、ご本人が行うことは難しいので、弁護士に依頼することが最善です。
弁護士による示談交渉の流れ
弁護士に示談交渉を依頼した場合の流れは、以下のとおりです。
示談の申し入れをする
- 捜査機関に対して示談の申し入れをして、被害者への取り次ぎを依頼します。
- 被害者は、弁護士に対しても、自分の名前や連絡先を教えることに不安を抱かれることがよくあります。そこで、示談の申し入れをする際には、そのような被害者の心情に配慮し、できる限り被害者の不安を軽減できるように配慮しながら、慎重に対応しています。
示談交渉を行う
- 弁護士から被害者に連絡し、示談交渉を行います。
- 他事務所の中には、被害者の意向を確認しないまま、弁護士にとって便利な方法(SNSなど)で連絡をしたり、被害者の心情を顧みず一方的に話をして、考えを押し付け、再度傷つけてしまうようなケースもあると聞きます。そのような対応では、示談を受け入れていただくことは極めて困難であると言わざるを得ません。
- 当事務所では、後述のような考え方に基づき、被害者の心情に最大限配慮しながら、示談を受け入れていただくための最善の弁護活動を実践しています。
示談書の調印+示談金の支払いを行う
- 示談の合意が成立したら、弁護士が示談書を作成して、示談書の調印+示談金の支払いを行います。
- 示談書の署名・捺印は、弁護士が代理して行いますので、ご本人に署名・捺印いただく必要はありません。
釈放・不起訴・執行猶予などに向けた処分交渉を行う
- 示談書の調印+示談金の支払い完了後、示談書+示談金の領収書などを提出した上で、刑事処分に関する交渉を行います。
- 捜査段階であれば、検察官に対して、即時釈放や不起訴を求める交渉などを行います。
- 公判段階であれば、保釈請求や、刑事裁判において法廷弁護を尽くして執行猶予や減軽を求める活動を行います。
示談に関する当事務所の考え方
示談は当事者双方のためにする
被害者は、示談という言葉に、マイナスのイメージを抱いていることがあります。
たしかに、示談をすることで、不起訴や執行猶予になる可能性は高まり、そうでなくても刑を軽くする事情として考慮される可能性が高いといえます。そのことについて消極的な気持ちが生じるのは理解できないものではありません。
しかし、示談は、加害者のためにのみ存在するわけではなく、被害者にとってもメリットがあります。
刑事事件の被害に遭われた方は、事件のときだけではなく、事件後も、大きな不安を抱かれています。
示談交渉を通じて、弁護士が、ご本人の謝罪と反省の気持ちをお伝えし、被害者が不安に感じていることを軽減するための具体的な措置を講じた場合には、被害者の不安は軽減されるといえるでしょう。
また、事件により生じた損害を賠償したり、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いをすることも、被害回復のためには重要です。
このように、刑事事件の示談は、当事者双方のためにするものであるということを意識して、そのことを被害者にもきちんとご説明することによって、示談という言葉に対する抽象的な不安を解消できるように努めることが弁護人には求められているといえます。
当事務所では、被害者の心情に配慮しながら、ご本人の利益を護るために、誠実な示談交渉の実践を心がけています。
性犯罪の示談交渉
当事務所の中原潤一弁護士・神林美樹弁護士が共著で出版した著書「行為依存と刑事弁護 性依存・窃盗症などの弁護活動と治療プログラム」でも触れましたが、一般に、性犯罪の示談交渉は、特に難しいものと考えられています。
窃盗罪であれば、通常、被害者は盗まれた物の返還を希望するでしょうし、傷害罪であれば、通常は、事件によって生じた治療費などの賠償を望むと考えられますが、性犯罪による被害は、金銭賠償によって回復されるものではないからです。
また、多くの場合、被害者は「もう二度と同じことをしてほしくない」という気持ちを強く抱いていると感じます。
当事務所では、ご本人からのご希望がある場合には、性犯罪の再犯防止プログラムを実施している医療機関や、社会福祉士・精神保健福祉士など福祉の専門家とも連携しながら、性犯罪の再犯防止をサポートする弁護活動を行っています。そのような取り組みを行っている場合には、そのことも被害者に丁寧にご説明し、謝罪と示談を受け入れていただけるように誠実な弁護活動を心がけています。
性犯罪で被害者が女性のケースの場合には、女性弁護士の方が安心してお話いただけることが多いように思います。当事務所では、ご本人からのご希望がある場合には、女性弁護士による性犯罪の法律相談をお受けしています。
女性弁護士による性犯罪の法律相談については以下のページをご参照ください。
示談交渉の研修講師を務めました
東京弁護士会で開催された、弁護士向け研修「刑事事件における示談交渉」の講師を務めました。
示談研修の概要については以下のページをご参照ください。
示談交渉の取材に回答しました
弁護士ドットコムニュースより取材を受けて、強盗致傷罪の示談交渉について回答しました。
取材概要については以下のページをご参照ください。
弁護士ドットコムの「強盗致傷罪の示談交渉」に関する取材に回答しました >
示談による解決実績
示談が成立して、身体拘束からの釈放を実現したり、不起訴処分、執行猶予を獲得した実績は多数あります。
以下、その一例をご紹介します。
示談成立し、刑事事件化を阻止した事案
示談成立し、早期釈放を実現した事案
示談成立し、不起訴処分となった事案