少年事件で逮捕・勾留された場合
捜査段階
勾留させないための活動
逮捕・勾留されてしまった場合、その間の手続きは成人の場合と全く同じです。
ですから、勾留されてしまった場合には、原則として10日間、最大20日間勾留されてしまうことになります。
成人の場合、勾留をすることができる要件として、
①住居不定、罪証隠滅を疑う相当な理由、逃亡を疑う相当な理由のいずれかがある場合で、かつ
②勾留をすることの不利益が捜査の利益を上回らないこと
が刑事訴訟法には規定されています(刑事訴訟法第60条1項)。
しかし、少年の場合には、これに加えて「やむを得ない場合」でなければ勾留状を発することができないという規定があります(少年法48条1項)。
したがって、まず考えなければならないのは、お子さんを勾留させないことです。
もしくは、勾留されてしまったとしても、準抗告申立て等の手段により、身体拘束から早期に釈放することです。
そのためには、可能な限り早く弁護士をつけるべきだということができます。
お子さんが罪を認めている場合
まずは10日間で捜査を終わらせてもらうことを考える
勾留されてしまった場合、勾留されていること自体が少年にとって不利益ですから、一刻も早く捜査を終わらせてもらうことを考えなければなりません。もし、被害者がいる犯罪であれば、被害者との間で示談を成立させることが考えられます。万が一、検察官がさらに10日間の勾留延長を考えているのであれば、その勾留延長を阻止するような活動をしなければなりません。いずれにせよ、何とか10日間以内に捜査を終わらせてもらうための方策を採ることになるでしょう。
観護措置(鑑別所への入所)をとらせないことを考える
少年事件は、原則として全件を家庭裁判所に送致しなければならないことになっています。
そして、家庭裁判所に送致された際に、裁判官が観護措置(鑑別所への入所)をとるかどうかを判断することになります。観護措置(鑑別所への入所)ということになれば、実務上はおおよそ2週間以上4週間以内の範囲でさらに家に帰れないことになります。この際には、逮捕・勾留されていた場合にはそのまま観護措置をとられて鑑別所に入所となってしまうことが多いので、観護措置をとる必要はないことを裁判官にアピールし、説得しなければなりません。そして、その説得のための材料は、少年が逮捕・勾留されている捜査段階で獲得しなければなりません。
お子さんが事件への関与を否定している場合
まずは10日間で捜査を終わらせてもらうことを考える
お子さんが事件への関与を否定している場合であっても、勾留されていること自体が少年にとって不利益ですから、一刻も早く捜査を終わらせてもらうことを考えなければなりません。検察官がさらに10日間の勾留延長を考えているのであれば、その勾留延長を阻止するような活動をしなければなりません。いずれにせよ、何とか10日間以内に捜査を終わらせてもらうための方策を採ることになるでしょう。
嫌疑不十分・嫌疑なしの不送致を目指す
罪を認めている場合と、事件への関与を否定している場合の一番の違いは、この点にあります。
つまり、少年事件は、原則として全件を家庭裁判所に送致しなければならないことになっていますが、嫌疑が不十分であったり、嫌疑がなかった場合には、検察官は家庭裁判所に送致をしないということがあります。そうすれば、少年はそれ以上事件のことを追及されたり、家庭裁判所に行って説明をするということがなくなります。
少年にとって、最もメリットがある処分になります。
ですので、お子さんが事件への関与を否定している場合には、嫌疑不十分・嫌疑なしの不送致を獲得することが目標となります。
観護措置(鑑別所への入所)をとらせないことを考える
観護措置(鑑別所への入所)をとらせないことを考えなければならないことは、罪を認めている場合と一緒です。
特に、お子さんが事件への関与を否定している場合には、何もしていないのに鑑別所へ入所しなければならなくなるわけですから、こんなに不利益なことはありません。お子さんが事件への関与を否定している場合には、観護措置(鑑別所への入所)をとらせないことも頭に入れながら、捜査段階の弁護活動を展開していく必要があります。
逮捕からの早期釈放の実績(一部)