逮捕・勾留されている場合
ご本人が逮捕・勾留されている場合の弁護人の重要性
=時間との勝負
48時間以内
警察官は、逮捕してから48時間以内に検察官に事件を送致します。これを送検といいます。
24時間以内
検察官は、身体拘束したままでさらに捜査を行う必要があると判断した場合には、事件の送検を受けてから24時間以内に裁判官に対して勾留請求を行います。
弁護人は、検察官に対し、勾留請求をしないよう意見書を提出するなどして釈放を求めることができます。
勾留決定 ※(3) | 検察官の勾留請求に対して、裁判官は勾留が必要だと判断した場合には、勾留決定を行います。 |
---|
10日間
勾留決定がされると、原則として10日間身体拘束されることになります。
弁護人は、裁判官3人の合議体に対し、裁判官の勾留決定は不当であり、勾留決定を取り消し却下するよう、準抗告申立書を提出するなどして釈放を求めることができます(これを準抗告の申立てといいます)。
勾留延長請求 ※(4) | 検察官は、原則としてこの10日間で事件を起訴するか不起訴にするかを決めることになりますが、身体拘束したままでさらに捜査を行うやむを得ない事由がある場合には、裁判官に対して勾留の延長を請求します。 |
---|
最長10日間
弁護人は、裁判官に対し、検察官の勾留延長請求は不当であり、勾留延長請求を却下するよう意見書を提出するなどをして釈放を求めることができます。
裁判官は勾留延長が必要だと判断した場合には、10日間を上限として勾留延長決定を行います。
勾留延長決定がなされると、最長で逮捕から23日間、身体拘束されることになります。
弁護人は、裁判官3人の合議体に対し、裁判官の勾留延長請求は不当であり、勾留延長決定を取り消し却下するよう、準抗告申立書を提出するなどして釈放を求めることができます。
このように、逮捕されてしまった場合には、最長で23日間の身体拘束がなされるおそれがありますので、速やかに、身体拘束からの解放活動を行う必要があります。これが、刑事事件において「スピード」が求められる理由です。
解放活動について
弁護人を選任すれば、(1)~(7)の各場面において、身体拘束からの解放活動を行うことができます。
(1) 検察官に対し、勾留請求をしないよう、意見書を提出する等して釈放を求めます。
(2) 裁判官に対し、検察官の勾留請求は不当であり、勾留請求を却下するよう意見書を提出する等して釈放を求めます。
(3) 裁判官3人の合議体に対し、裁判官の勾留決定は不当であり、勾留決定を取り消し却下するよう、準抗告申立書を提出する等して釈放を求めます。
(4) 検察官に対し、勾留延長請求をしないよう、意見書を提出する等して釈放を求めます。
(5) 裁判官に対し、検察官の勾留延長請求は不当であり、勾留延長請求を却下するよう意見書を提出する等して釈放を求めます。
(6) 裁判官3人の合議体に対し、裁判官の勾留延長請求は不当であり、勾留延長決定を取り消し却下するよう、準抗告申立書を提出する等して釈放を求めます。
(7) 検察官に対し、不起訴処分を求める旨の意見書を提出する等して釈放を求めます。
これらの活動は、「弁護人」でなければ、行うことができません。
可能な限り早いタイミングで弁護人を選任し、その弁護人がスピーディーな弁護活動をすれば、身体拘束される時間が短くなる可能性が高まります。
このような身体拘束からの解放活動とともに、検察官に対して、不起訴処分を求める活動を行います。
不起訴処分となった場合、ご本人には前科はつきません。たとえば、被害者がいる事件では、示談ができれば不起訴になるが、示談ができなければ起訴されてしまうという場合もあり得ます。
逮捕・勾留されている事件では、検察官は、原則として最長23日間の身体拘束の期間内に起訴するか不起訴にするかの最終決定をすることになりますので、迅速な対応が必要です(なお、勾留満期で処分を保留する場合もあります)。身体拘束後の早い段階で示談ができれば、その時点で釈放されるというメリットも考えられます。
逮捕・勾留されている場合には、弁護人をつける重要性が極めて高いといえます。