令和4年4月16日、日弁連が主催する、日本司法精神医学会との協議会に参加しました。

 

日弁連の責任能力PTでは、定期的に、日本司法精神医学会に所属されている精神科医の先生方と協議会を開催して、意見交換を行っています。

 

今回は、自閉スペクトラム症(ASD)、短期精神病性障害(DSM-5)・急性一過性精神病性障害(ICD-10)の症例に関して、弁護士と精神科医の先生方との間で意見交換を行いました。

 

自閉スペクトラム症(ASD)は、いわゆる発達障害の一つです。

生来性のものであり、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられています。

 

また、短期精神病性障害・急性一過性精神病性障害は、急性ストレス等によって、一時的に精神病的な状態になる(幻覚・妄想などの精神病症状が急激に発症する)というものであり、私たちの誰にでも起こり得ることです。

 

特定の行為を思い止まることができなかった背景に、ご本人の責任ではない生来性の特性や精神障害が影響している場合、そのような事情はご本人の意思決定に対する責任非難を減弱させる要素とみるべきです。

 

そのことを事実認定者に正しく伝え、理解を得るためには、弁護士一人一人が謙虚な気持ちで貪欲に司法精神医学と向き合い、理解を深める努力を尽くすべきであると考えます。

 

今回の協議会では、自閉スペクトラム症(ASD)、短期精神病性障害・急性一過性精神病性障害についての診断上の問題、症状の特徴、治療の方針(生来性の特性や、一過性もので症状が消失するも統合失調症等の発症リスクがある状態下での治療の在り方)等について、精神科医の先生方にくわしくご解説いただき、大変勉強になりました。

 

また、精神鑑定の結果を踏まえた弁護活動の在り方について、弁護士から様々な意見が出て、充実した議論を行うことができました。

 

当事務所では、一人一人のご依頼者・ご家族を護るために、このような協議の機会を通じて研鑽を積み、司法精神医学及び責任能力弁護に関する最先端の知識の習得と理解の深化に努めてまいります。

 

 

弁護士法人ルミナス法律事務所

弁護士 神林美樹

 

刑事事件・少年事件を専門的に扱う
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