目次
1.再度の執行猶予判決を獲得した事案 |
2.減刑となった事案 |
再度の執行猶予判決を獲得した事案
クレプトマニア(万引き)|実刑とした一審判決を破棄し、再度の執行猶予となった事案
事案の概要
万引きを繰り返してしまうというクレプトマニアの方の執行猶予中の再犯(万引き)について、一審で窃盗罪で実刑判決が下された事案で、控訴審のご依頼を受けました。
弁護活動の内容
控訴審では、今回の万引き行為に対するクレプトマニアの影響を考慮しなかった一審判決の不当性、治療への取り組み状況、治療効果が上がっていること、治療を継続することこそが再犯を防止し更生改善に資すること、家族の支援があること、被害弁済の状況等を丁寧に主張・立証し、再度の執行猶予判決を強く求めました。
また、治療を担当している専門家とも適宜連絡を取り合い、連携しながら、ご不安を抱えているご相談者様・ご家族の皆様に寄り添った弁護活動を心がけました。
弁護活動の結果
上記弁護活動の結果、控訴審は、実刑とした一審判決を破棄し、再度の執行猶予判決を言い渡しました。
これにより、ご本人は刑務所に行くことなく、社会復帰を果たされました。
クレプトマニア(万引き)|実刑とした一審判決を破棄し、再度の執行猶予となった事案
事案の概要
前刑(万引き)の執行猶予期間中に、同じコンビニエンスストアで、2回、食料品を万引きしたという事案です。
第一審では、実刑判決が言い渡されました。
「再度の執行猶予を目指したい」というご本人からの相談を受けて、控訴審から弁護人となりました。
弁護活動の内容
①第一審の裁判官は、ご本人がクレプトマニアに罹患している旨の診断書が証拠として提出されているにもかかわらず、その診断を否定したうえで、本件万引きは、クレプトマニアの症状に因るものではなく、ご本人が自らの主体的判断に従って欲望の赴くままに行ったものであるとして、実刑判決が相当であると判断しました。
しかしながら、「精神障害の有無・程度」や「精神障害が犯行に与えた影響の有無・程度」については、その診断が臨床精神医学の本分であることから、精神科医の意見が証拠となっている場合には、合理的な理由がない限り、精神科の意見を十分に尊重して認定すべきであるとされています(最判平成20年4月25日刑集62巻5号155頁)。
そこで、まずは、上記診断を否定した第一審事実認定は、最高裁の理念に反するものであり、経験則・論理則に照らして著しく不合理なものであることを主張・立証しました。
②そして、本件万引きは、ご本人が抱えているクレプトマニアの症状に因るものであることを、ご本人の被告人質問、専門家証人の証言、各種医学論文などによって、立証しました。
③そのうえで、医療機関への相談、家族との環境調整等を行って、再犯防止のための治療体制が整っていることを主張・立証しました。
弁護活動の結果
控訴審では、犯行当時、ご本人がクレプトマニアに罹患していたという事実が正しく認定されました。
そして、再犯防止のためには治療を継続する必要があること、ご本人と家族の治療と再犯防止への真摯な取り組みが適切に評価された結果、実刑とした原判決を破棄して、再度の執行猶予判決を言い渡しました。
窃盗罪(万引き)|実刑とした一審判決を破棄し、再度の執行猶予となった事案
事案の概要
約一年前に窃盗罪で執行猶予付きの判決を受けた方が、その執行猶予期間中に、スーパーで食料品を万引きしたという事案です。この事件では、ご依頼者は逮捕されてしまいましたが、勾留請求は却下され、ご本人は勾留されることなく裁判を受けることになりました。
第一審では、ご本人が窃盗症(いわゆるクレプトマニア)等に罹患しており、再度の執行猶予を付すことが相当であるとして弁護活動をしましたが、裁判所は聞く耳をもたずご本人を実刑にする判決をしました。
これに対して、再度の執行猶予が妥当であるということを明らかにするため、控訴をすることになりました。
弁護活動の内容
不当な第一審判決
第一審の裁判官は、クレプトマニアに罹患しておりその影響下で行われた犯行であることを立証するための弁護人からの医師の証人尋問請求を却下し、本件万引きは、クレプトマニアの症状とは関係なくご本人が自ら行ったものであるとして、実刑判決にしました。
しかしながら、「精神障害の有無・程度」や「精神障害が犯行に与えた影響の有無・程度」については、その診断が臨床精神医学の本分であることから、精神科医の意見を聞かなければわからないはずです。第一審は、弁護人から立証の機会を奪い、裁判官が精神科医に成り代わって、「病気の影響はない」と断じた不当なものでした。
控訴審での弁護活動
そこで、まずは、上記のように医師の証人尋問請求を却下した第一審は、裁判官が勝手に精神科医に成り代わったものであり、裁判官に与えられた裁量の逸脱・濫用があり、医師の尋問なくなされた事実認定は経験則・論理則に照らして著しく不合理なものであることを主張・立証しました。
そして、本件万引きは、ご本人が抱えているクレプトマニアの症状に因るものであることを、ご本人の被告人質問、医師の診断書や意見書、各種医学論文などによって、立証しました。
そのうえで、医療機関への相談、家族との環境調整等を行って、再犯防止のための治療体制が整っていることを主張・立証しました。
弁護活動の結果
原判決破棄、逆転再度の執行猶予判決
控訴審では、第一審で却下された医師の診断書や意見書が採用されました。そして再犯防止のためには治療を継続する必要があること、ご本人と家族の治療と再犯防止への真摯な取り組みが適切に評価された結果、実刑とした原判決を破棄して、再度の執行猶予判決を言い渡しました。
減刑となった事案
控訴審・窃盗罪+詐欺罪+建造物侵入罪|原判決を破棄し、6カ月の減刑がなされた事案
複数件の窃盗・詐欺・建造物侵入事件について、一審で懲役2年の実刑判決を受けた事案で、控訴審の弁護を担当しました。本件では、被害者が多数存在し、一審では、その大部分の弁償がなされていましたが、うち3件の弁償が未了(示談拒否など)の状況でした。受任後、弁償が未了であった3名の被害者の方々に対して再度示談の申し入れをし、粘り強く交渉した結果、2名の被害者の方には、被害弁償を受け入れていただくことができました。残り1名の被害者の方には、再度のお話の機会をいただくことができなかったため、被害弁償金の供託を行いました。その結果、裁判所は、「原判決後の弁償により、全ての弁償がなされたことが認められる。そうすると、・・・本件による財産的被害は全て回復したといえるのであるから、このことは、量刑上充分に考慮されるべきであり、これによれば、原判決の量刑は、現時点においては、刑期の点において重きに失するに至ったというべきである」として、一審の懲役2年が懲役1年6カ月に減刑されました。一審での検察官の求刑は懲役3年でしたので、求刑の50%に減刑されたことになります。
ご相談者様の謝罪の気持ちを伝えるために、必死で駆け回り、あきらめずに最後まで戦い抜いた結果、事実取り調べ請求はすべて採用され、大幅な減刑を得ることができました。
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