過失運転致傷罪|禁固以上の刑に処せられた場合、保有する資格が取り消されてしまう方の刑事裁判で、罰金判決を獲得した事案

事案の概要

自動車通勤中に、歩行者と衝突する交通事故を起こし、被害者の方に加療3か月を超える怪我を負わせてしまったという事件。起訴後にご相談をお受けし、起訴後の公判弁護活動を受任しました。

 

刑事裁判となった経緯

ご本人に前科・前歴はなく、長年、誠実に勤務されている方でした。

ですが、ご本人の一方的な過失による事故であり(過失の重大性)、被害者の方が重症を負われていること(結果の重大性)等の事情から、検察官は公判請求(起訴)を行い、刑事裁判となりました。

 

特殊な事情:資格制限

ご本人は国家資格を有しており、その資格に基づいて、ご勤務されていました。しかし、法律上、刑事裁判で禁錮以上の刑(執行猶予判決を含む)に処せられた場合には、その資格が取り消されてしまい、仕事を続けることができなくなってしまうという特殊な事情がありました。

 

 

弁護活動の内容

上記のような事情があったため、裁判では罰金判決を求めることとし、そのために、なし得る限りの弁護活動を尽くしました。

 

示談の成立

誠意を尽くして謝罪と被害弁償を行った結果、示談が成立しました。被害者の方は、重いお怪我を負われたにもかかわらず、ご本人の謝罪を受け入れ、①ご本人を宥恕すること、②刑事処罰を求めないこと、③ご本人が仕事を続けることができなくなることを望まず、今後も真摯に職務に努めることを望むとの意向を表明して下さいました。

 

嘆願書の作成

ご本人の勤務先に事故の説明をしたところ、その同僚全員が、ご本人の誠実な人柄と勤務態度を裁判官に伝えて、勤務継続を望む旨の嘆願書を作成して下さり、これを証拠として提出しました。

 

交通贖罪寄付

ご本人は、心からの反省と贖罪の気持ちを込めて、交通贖罪寄付を行いました。

 

情状証人:父親+勤務先の上司の監督

父親と勤務先の上司に情状証人として証言していただき、ご本人に今後運転させないことを誓約し、周囲も一丸となって、同様の被害防止に努めていることを伝えました。

 

その他の弁護活動

ご本人は、事故の償いのための一つとして、ボランティア活動にも積極的に参加しました。

弁論では、過去の裁判例に照らしても罰金刑の選択の余地が十分にあり得ることを説得的に論じた上で、上記各事情に加えて、ご本人の真摯な反省の気持ち、再犯可能性がないこと、禁錮刑以上の刑に処せられた場合の不利益の大きさ等を、一つずつ、丁寧に主張しました。

 

 

弁護活動の結果

上記のような弁護活動を尽くした結果、弁論の内容がほぼ全面的に受け入れられ、ご本人のために酌むべき事情が最大限考慮されて、罰金判決となりました。

ご本人は資格を剥奪されることなく、現在も真摯にその職務を全うしています。

 

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