目次

1.略式手続とは
2. 略式手続を利用するための条件
軽微な犯罪であること
被疑者が同意していること
3. 通常手続への移行

 

 

略式手続とは

通常、刑事事件の被告人は、公の裁判で裁かれ、刑罰を科されます。しかし、日本で起きたすべての刑事事件について、裁判を開いて処理していたのでは、時間も費用も膨大にかかってしまいます。そこで、公判を開かず、検察官が提出した書類による非公開の審理によって簡易裁判所が刑罰を科すことを可能としたのが、略式手続です。略式手続の利用頻度は公判手続より高く、特に、交通事犯について多く利用されています。

公判手続が開かれないため、事件は短期で終結し、実際に裁判に出席することも必要ありません。また、処断刑は罰金または科料に限定されているので、懲役刑などの身体拘束を伴う刑罰を科されることもありません。他方で、罰金・科料も前科ですから、事実を争いたい場合や起訴猶予を目指したい場合に、略式手続に同意してしまうことには注意が必要です。

 

 

略式手続を利用するための条件

軽微な犯罪であること

略式手続で科すことのできる刑罰は、「100万円以下の罰金または科料」とされています(刑訴法461条)。したがって、略式手続の対象事件は、「100万円以下の罰金または科料」に相当する程度の軽い事件に限定されます。

 

 

被疑者が同意していること

略式手続は、早期に身体拘束から解放されるというメリットもありますが、非公開で行われる点で「裁判を受ける権利」を制約されるという側面も持っています。そのため、検察官は被疑者に対して、略式手続について説明をし、公判手続ではなく略式手続をとることに異議がないか確認する必要があります(刑訴法461条の2)。

 

 

通常手続への移行

上記の条件を満たしている場合は、検察官は略式手続に付すことを選択でき、裁判所に対し略式命令請求(略式起訴)をすることができます。この請求を受けた裁判所は、略式命令が可能かつ相当であると認めるときは、請求のあった日から14日以内に、略式命令を発し、被告人に告知します(刑事訴訟規則290条)。ここで、①検察官が被疑者への説明手続をしていない、または被疑者の異議がない旨の書面が添付されていないとき(刑訴法463条2項)、あるいは、②略式命令をすることが不可能または不相当と判断したときは(刑訴法463条1項)、略式命令はせず、通常の公判手続を行うことになります。

また、略式命令を受けた被告人と検察官も、略式命令の告知を受けた日から14日以内であれば、裁判所に対して通常の公判手続を行うよう請求することができます(刑訴法465条1項)。

 

 

このページは、弁護士法人ルミナス法律事務所 代表弁護士 中原潤一 が執筆しました。