目次

1.被害者参加制度とは
2.被害者参加制度の利用方法
3.被害者参加人としてできること
4.被害者参加制度とその他の制度
被害者参加人のための国選弁護制度
被害者参加旅費等支給制度

 

 

被害者参加制度とは

被害者参加制度とは、一定の重大犯罪の被害者やご遺族などが、裁判所から参加の許可を得たうえで、公判期日に出席し、被告人質問や意見の陳述などの一定の訴訟活動を自ら直接行うことができる制度です。

 

被害者参加制度の対象事件は、下記に限定されています(刑訴法316条の33第1項)。

 

① 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(殺人、傷害など)

② 強制わいせつ、強制性交等などの罪

③ 逮捕及び監禁の罪

④ 略取誘拐、人身売買の罪

⑤ ①~④の犯罪行為を含む他の犯罪

⑥ 過失運転致死傷などの罪

⑦ ①~⑤の未遂罪

 

 

被害者参加制度の利用方法

参加を希望する場合は、被害者やご遺族等の方々から、事件を担当する検察官に対して参加の申出をあらかじめ行う必要があり、申出を受けた検察官は、意見を付して、裁判所に通知します(刑訴法316条の33第2項)。

そして、通知を受けた裁判所は、被告人または弁護人の意見を聴き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときに参加を許可する決定を行います(刑訴法316条の33第1項)。

参加の申出は、被告人が起訴された後であれば、いつでも行うことができます。

 

 

被害者参加人としてできること

①公判期日への出席

検察官席の隣などに着席して、裁判に出席することができます。

 

 

②検察官の権限行使に関する意見を述べる(刑訴法316条の35)

証拠調べ請求や論告・求刑などの検察官の権限行使に関して意見を述べたり、説明を求めたりすることができます。

 

 

③証人尋問(刑訴法316条の36)

情状に関する事項についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、申出をして許可を得れば、参加人自ら尋問をすることができます。ただし、犯罪事実に関する事項については尋問することができません。

 

 

④被告人質問(刑訴法316条の37)

申出をしたうえで、意見を述べるために必要があると認められた場合は、被告人に対して参加人自ら質問をすることができます。被告人に対しては、情状に関する事項だけではなく、犯罪事実に関する事項についても質問することができます。

 

 

⑤事実または法律の適用について意見を述べる(刑訴法316条の38)

申出をしたうえで、相当と認められた場合は、検察官の意見陳述のあとに、事実または法律の適用について意見を述べることができます。すなわち、検察官が行う論告・求刑と同じことを、参加人も行うことができます。もっとも、この陳述は証拠にはならないため(刑訴法316条の38第4項)、意見として参考にされることはありますが、この陳述自体を量刑を重くする証拠として扱うことはできません。

 

 

⑥心情についての意見を述べる(刑訴法292条の2)

被害に関する心情や、事件に関する意見を述べることができます。この陳述は、事実認定の証拠にはなりませんが、情状証拠にはなるため、量刑判断の資料として用いられることがあります(刑訴法292条の2第9項)。なお、この陳述は、被害者参加制度を利用せずとも行うことができます。

 

これらの行為は、弁護士(被害者参加弁護士)に委託して行うこともでき、必要に応じて弁護士の援助を受けることができます。被害者参加弁護士のみが法廷に入り、参加人は傍聴席に座る、ということも可能です。また、被告人や傍聴席にいる被告人の関係者と直接顔を合わせることに抵抗がある場合は、ついたてなどを置くことで、視線を気にせず参加できるような措置を講ずることもできます。

 

 

被害者参加制度とその他の制度

被害者参加人のための国選弁護制度

経済的に余裕のない方は、裁判所が被害者参加弁護士を選定し、国費で法的サービスを提供するという被害者参加人のための国選弁護制度を利用することもできます。参加人の資力から、当該犯罪行為を原因として請求の日から6か月以内に支出する見込みのある費用の額(治療費など)を差し引いた額が200万円未満であることが制度利用の条件です。 利用する場合は、法テラスを経由して、裁判所に対して被害者参加弁護士を選定することを請求することとなります。

 

 

被害者参加旅費等支給制度

被害者参加制度を利用して裁判に出席した場合は、交通費と日当(1日当たり1,700円)が支給されます。また、遠方であるなどの理由で宿泊しなければならない場合は、宿泊料も支給されます。もっとも、「出席」することが条件であるため、被害者参加の許可を得ていても傍聴席で裁判を傍聴したような場合は支給されません。請求は、裁判が終了してから30日以内に行う必要があります。

 

 

このページは、弁護士法人ルミナス法律事務所 代表弁護士 中原潤一 が執筆しました。