目次

1.少年も大人と同じ刑事裁判を受けることがある
2.少年法20条
3.少年法55条
4.当事務所の実績

 

 

少年も大人と同じ刑事裁判を受けることがある

罪を犯した疑いのある20歳未満の少年は、原則として家庭裁判所で審判を受け、罪を犯したと認定された場合には、少年院送致、保護観察、不処分などの処分を受けることになります(この処分のことを総称して保護処分と言います)。

子どもと大人では圧倒的に経験と判断力が違います。そのような子どもと大人に同じ刑罰を与えるのは公平ではなく、また子どもは一般的に大人よりも更生しやすいため、特別な教育を施した方が社会のためになることが多いことが考慮されています。

ただし、少年法には例外があり、20歳未満の少年でも大人と同じ刑事裁判を受けるケースが規定されています。

このコラムでは、そのような少年が大人と同じ刑事裁判を受けるケースについて解説します。

 

 

少年法20条

その規定が、少年法20条です。

少年法20条は、

 

(検察官への送致)

第二十条 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

 

という規定です。

 

少年法20条に基づいて家庭裁判所から検察官に送致することを「逆送」と言います。なぜ「逆」なのかというと、少年審判の前に犯罪を犯した疑いがあるかどうかを検察官が捜査します。その捜査を終えた検察官は、原則として全件家庭裁判所に送致しなければなりません。ですので、少年事件で事件を「送致する」と言えば、検察官から家庭裁判所に送致することを意味します。しかし、少年法20条は、その「逆」で、検察官から送致された少年を、また検察庁に送致することになるので「逆送」と言ったりします。

そして、16歳以上の少年が故意の犯罪行為により人を死亡させた罪(殺人、傷害致死、危険運転致死など)にあたる場合には、20条2項によって、原則として逆送をしなければならないという規定になっています。20条2項の規定はその全てが裁判員裁判対象事件となります。

 

家庭裁判所から送致を受けた検察官は、少年を地方裁判所に起訴することになります(なお、この間はまた被疑者に戻り、10日間勾留されます)。

 

少年法20条の規定により逆送された少年は、大人と同じ刑事裁判を受けることになります。その場合でも、やっぱりこの少年には保護処分が妥当だから、家庭裁判所に戻すべきだと主張することは可能です。それが、少年法55条の主張です。

 

 

少年法55条

少年法55条は、

 

(家庭裁判所への移送)

第五十五条 裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。

 

という規定です。

 

「保護処分に付するのが相当であると認めるとき」というのは、①保護処分が社会的に許容される、②保護処分が少年の更生に有効であるという2つの場合が満たされるときであると考えられています。そして、これらについては、犯行当時の少年の年齢、犯行態様、犯行動機・経緯、少年の能力や環境、処分の公平性や被害者の被害感情等の諸要素に照らして判断されることになります。

したがって、少年が大人と同じ刑事裁判を受けることになった場合には、これらの要素を裁判所に説得的に主張・立証して理解してもらわなければなりません。一般の市民が参加する裁判員裁判であれば尚更です。そのためには、少年法55条についての深い理解と、高い法廷弁護技術が求められます。

 

 

当事務所の実績

先日、当事務所では少年法55条に基づく移送決定を獲得しました。詳しくはこちらをご覧ください。

お子さんが重大な犯罪に関与したと疑われてしまっている、大人と同じ刑事裁判を受けることになるなどと警察などの捜査機関から言われてしまっているような場合には、ぜひ当事務所にご相談ください。

 

 

このページは、弁護士法人ルミナス法律事務所 弁護士 中原潤一 が執筆しました。