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弁護士法人ルミナス法律事務所 東京事務所
弁護士 大橋 いく乃

早稲田大学大学院法務研究科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、弁護士法人ルミナス法律事務所に加入し、多数の刑事事件・少年事件を担当。第一東京弁護士会刑事弁護委員会・裁判員裁判部会委員、刑事弁護フォーラム事務局、治療的司法研究会事務局等を務める。無罪判決、再度の執行猶予判決等を獲得。精神障害を有する方の刑事弁護に注力しており、医療・福祉の専門家と連携した弁護活動に積極的に取り組んでいる。

目次

1.はじめに
2.少年院とは
3.少年鑑別所とは
4.少年院と少年鑑別所

 

 

はじめに

お子さんが事件を起こしてしまった、逮捕されてしまったという場合、いわゆる少年院にいかなければいけないのか、身体拘束はいつまで続くのかと、親御さんのご不安、ご心配は様々だと思います。インターネットで調べていくと、少年事件の手続きの中に、少年院と少年鑑別所という2つの似た施設が出てきて、混乱してしまった、少年院と少年鑑別所って何が違うのでしょうか?というご質問をよく受けます。

そこで、ここでは、少年院と少年鑑別所の役割の差をご説明させていただきます。

 

 

少年院とは

少年院は、少年審判の結果、保護処分の執行を受ける者、少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受ける者を収容し、これらの者に対し、矯正教育その他の必要な処遇を行う施設をいいます(少年院法3条)。閉鎖的な施設の中で、少年に規律や秩序を維持する生活を継続させることで矯正教育を行う施設です。

 

つまり、少年院への送致は、少年事件の最終的な処分(終局決定)の内容という位置づけです。

 

少年院では、特別な場合を除いて外出や外泊を許されず、少年の自由を拘束するという意味で、少年の受ける保護処分の中でも最も強力な処分です。期間は1年を超えることもあり、その意味では、少年にとって不利益性が大きい処分といえます。

 

当事務所では、少年院送致相当とされていた事件で、保護観察を獲得した実績があります。

付添人を選任し、弁護活動を尽くすことにより、より有利な保護処分を求めることが可能です。

 

 

少年鑑別所とは

それでは、少年鑑別所は何をする場所でしょうか。

少年鑑別所は、①少年の心身の鑑別を行うこと、②家庭裁判所により観護措置がとられ、少年鑑別所に収容された少年に対し、健全な育成のための観護処遇を行うこと、③非行及び犯罪の防止に関する援助を行うことを目的とした機関です(少年鑑別所法3条)。

 

①の心身の鑑別とは、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術に基づき、鑑別対象者について、その非行又は犯罪に影響を及ぼした資質上及び環境上問題となる事情を明らかにした上、その事情の改善に寄与するため、その者の処遇に資する適切な指針を示すことをいいます。すなわち、心身の鑑別は、専門知識を有する鑑別技官が心理検査などを行ったうえで、なぜ非行に至ってしまったのかを解明し、繰り返さないための方針を立てるために行われます。

その鑑別の結果は、家庭裁判所に提出され、最終的な処分内容を判断する際の参考資料となります。

 

つまり、少年鑑別所は、少年事件の処分を決める前の段階で、その判断のために、少年が一定期間を過ごす場所です。

 

具体的な期間としては、以下の通りです。

少年鑑別所での鑑別は、観護措置の期間になされることが通常です。観護措置の期間は、実務上は、4週間として運用がなされています。この4週間の間に、少年の心身鑑別などがなされ、再非行を防ぐための方向付けがされます。

 

観護措置による少年鑑別所への収容は、約1か月という長期間身体を拘束されるという意味では、少年にとって不利益処分です。そのため、当該少年にとって必要のない処分であることや、少年が身体拘束を受けることにより被る不利益が大きいとして、異議の申し立ての手続きをとり、釈放を求めることも考えられます。

このような手続きのためには、付添人を選任する必要があります。

 

少年鑑別所の詳しい説明はこちら

 

 

少年院と少年鑑別所

このように、少年院と少年鑑別所は全く異なる位置づけの施設です。

少年事件には、少年院送致や少年鑑別所での観護措置など、成人の刑事事件では生じない手続きや処分があります。

各処分を回避したり、適切な手当てをするためには、少年事件の弁護に精通した弁護士を選任すべきです。

 

当事務所では、あらゆる少年事件を扱っており、少年院送致を回避した事例、非行事実があることを前提に審判不開始決定・不処分を獲得した事例、検察官送致(逆送)事件で裁判員裁判として対応した事例など様々な実績があります。

 

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少年事件のご相談は、当事務所まで、ご相談ください。

 

 

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