記事を執筆した弁護士
弁護士法人ルミナス法律事務所 埼玉事務所 所長
弁護士 田中 翔
慶應義塾大学法科大学院卒業。最高裁判所司法研修所修了後、公設事務所での勤務を経て、現在、弁護士法人ルミナス法律事務所埼玉事務所所長。日弁連刑事弁護センター幹事、埼玉弁護士会裁判員制度委員会委員、慶應義塾大学助教等を務めるほか、全国で弁護士向けの裁判員裁判研修の講師も多数務めている。冤罪弁護に注力し、無罪判決2件獲得。もし世界中が敵になっても、被疑者・被告人とされてしまった依頼者の味方として最後まで全力を尽くします。
目次
1.できる限り早い初回接見の重要性 |
2. 身体拘束からの解放の可能性が高くなること |
3. 適切な取調べ対応が可能になること |
4. 有利な証拠が収集できる可能性が高くなること |
5. おわりに |
できる限り早い初回接見の重要性
初回接見はできるだけ早く行われることが重要です。理由は大きく3つあります。まず1点目は、初回接見が早いほど、身体拘束からの解放の可能性が高くなることです。2点目は、適切な取調べ対応が可能になり、不利な証拠が作られる可能性を減らせることです。そして3点目は、有利な証拠を集めることができ、より良い結果を得られる可能性が高くなることです。
できるかぎり早く弁護士による初回接見が行われることは、大きなメリットがあります。
身体拘束からの解放の可能性が高くなること
逮捕後の刑事手続は、時間との勝負になります。逮捕後、48時間以内に検察官に事件が送致されることになります。検察官が事件を受け取ってから24時間以内に勾留請求するかどうかを判断しなければなりません。ここで、検察官が釈放すると判断すれば、勾留がされることなく釈放されます。勾留請求を行えば、次は裁判官が勾留の可否を判断します。ここで裁判官が勾留請求を却下すれば、勾留されることなく釈放となります。つまり、逮捕から72時間が、釈放されるかの重要な期間となります。
勾留決定後も、勾留決定に対する準抗告や勾留取消請求などにより釈放を求めることはできますが、いったん勾留決定がされてしまうと、基本的に釈放の機会がなくなってしまうことになります。
もし逮捕直後に初回接見ができれば、できる限り多く釈放のために必要な資料を集めて、検察官や裁判官に勾留しないよう働きかけることができます。初回接見が早ければ早いほど、そうした資料収集が容易になります。警察官や検察官は、釈放のために必要な証拠を集めてはくれません。できる限り早く弁護士との初回接見を行うことは、身体拘束からの解放のため重要となります。
適切な取調べ対応が可能になること
逮捕されると、警察官や検察官から取調べを受けることになります。しかし、取調べで供述するかどうかはその後の起訴・不起訴の結果、あるいは裁判での結果に大きな影響を与えます。
取調べで不利な供述をしてしまったがために、その後の手続で不利益が生じる危険も十分にあり得ます。
もし逮捕直後に初回接見が行われれば、弁護士からの助言を受けてから取調べに臨むことが可能になり、そうした不利益が生じる危険を減らし、有利に刑事手続を進めることができます。
有利な証拠が収集できる可能性が高くなること
起訴・不起訴、あるいは裁判での判決は、証拠によって決まります。
被疑者の方の言い分を裏付ける証拠が存在する可能性がある場合、そうした証拠をできるだけ早く集めることが重要です。
LINEなどのSNSの履歴、防犯カメラ映像などは、時間が経つと消えてしまいます。とくに防犯カメラ映像は、早ければ数日で消去されてしまうと言われています。逮捕直後であれば収集できた証拠が、その後は消えてしまう可能性があります。
そうした事態とならないためにも、できるかぎり早く弁護士との初回接見を行うことが必要です。
おわりに
このように、逮捕されてしまったときは、できるかぎり早く弁護士との初回接見を行うことが重要です。
当事務所では、ご依頼をいただいたらできるかぎり迅速に警察署へ伺って接見を行います。
ご家族が罪を疑われて逮捕されてしまった場合には、当事務所にご相談ください。
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