執筆者

弁護士法人ルミナス 

弁護士 田中 翔 が執筆しました。

示談とは

刑事事件で被害者がいる事件の場合、起訴・不起訴を決める捜査段階でも、起訴されて判決を受けることになる公判段階でも、示談はしばしば大きな問題となります。

示談とは、民事上の紛争を裁判によらずに当事者間で解決する契約をいうとされています(大阪刑事実務検討会編『量刑実務大系第2巻犯情等に関する諸問題』判例タイムズ社(2011年))。

つまり、犯罪によって生じた被害を、事後的に当事者間での話し合いでの合意により解決するということです。通常は、加害者側から被害者側へ一定額の金銭を支払うことが多いです。また、その際、被害者側が加害者を許すという意思表示がされることもあります。

犯罪により生じた損害を賠償するという意味で被害弁償と言われることもあり、例えば窃盗で盗まれた被害品を被害者に返還した場合などに被害回復という言葉を使うこともあります。

 

 

示談をするべきか

被疑者・被告人の方から、示談をした方がいいか質問されることがあります。

もし事実を認める場合は、示談をすることで、不起訴や執行猶予になる可能性を高めることができ、そうでなくても刑を軽くする事情として考慮される可能性が高いといえます。

そのため、事実を認める場合は、多くの場合で、可能な限り示談をする努力をした方がよいといえるでしょう。

なぜ示談が有利に考慮されるかについては、事後的に犯罪行為の違法性が減少するという考え方、犯罪行為をしたことの責任が減少するという考え方、示談をすれば刑が軽くなることを示すことで被害回復を促進するという考え方、本人の反省や努力の現れとして再犯防止の観点から有利に考慮する考え方など様々あります。

実際の刑事裁判でも、どのように考慮されるかは様々ですが、本人に有利な事情として判決で考慮されることが多いといえます。

また、捜査段階であれば、示談をした場合、検察官が被害者への確認をした上で、示談をしたことを考慮して不起訴とする場合があります。

もっとも、示談すれば不起訴になる、執行猶予となるというものではなく、犯罪行為の内容やその他の事情にもよるので、どの程度考慮がされるかは事件によってそれぞれであることには注意しなければなりません。

 

 

示談はどのようにするのか

示談をする場合、通常は、検察官又は警察官を通じて、被害者に対して示談をしたい旨を伝えて、弁護人に連絡先を教えてもらって示談交渉を開始することになります。

被害者が以前からの知り合いであるときや店舗である場合などは、弁護人が直接連絡して示談交渉を開始することもあります。

示談交渉の方法は、事件によっても様々ですが、被害者の被害状況を確認し、被疑者・被告人から提示できる示談金の額を提案して進めることになります。

同時に、被害者に対する謝罪文を作成して持参することもあります。

いずれにしても、示談の申し入れをするときは、弁護人に依頼することが最善です。

被害者の被害感情によっては、示談交渉が難航することもあります。

弁護人は、被害者の心情にも配慮しながら、被疑者・被告人の利益を考えて、できる限り示談を成立するように努めることになります。

 

 

示談できない場合

交渉を重ねても示談できない場合やそもそも連絡先を教えていただくこともできないことがあります。

そういった場合は、状況を見て期間を置いてあらためて申し入れをすることもあります。

または、各地にある法務局に供託するという方法もあります。

示談の申し入れをしても示談できないときには、示談申し入れを行い被害弁償に向けた努力をしたことを証拠として提出することになります。

事件の内容にもよりますが、示談が成立しない場合であっても、示談成立への努力をしていることが一定程度評価されることも少なくありません。

 

刑事事件では示談が問題になることは少なくありませんが、示談を希望するときは弁護士に依頼することが最善です。示談についてお悩みのときは、ぜひ一度ご相談ください。