執筆者

弁護士法人ルミナス 

弁護士 大橋 いく乃 が執筆しました。

目次

1.そもそも勾留って?
2.勾留の延長とは
3.勾留延長が許可される「やむを得ない事由」とは?
4.勾留延長を阻止する弁護活動
5.おわりに

 

 

そもそも勾留って?

逮捕された方は、48時間以内に検察官に送致されます。

送致を受けた検察官は、逮捕後72時間以内に勾留請求をするかどうか判断します。

検察官からの勾留請求を受け、裁判官が勾留請求を許可するかどうか判断することとなります。

勾留請求が許可された場合には、通常まず10日間の勾留決定があります。

 

法律上、このように勾留された事件については、勾留の請求をした日から「10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない」と定められています(刑事訴訟法208条1項)。

しかし、実際には、ごくごく単純かつ軽微な事案を除いては、検察官が勾留の「延長」を請求することがほとんどです。

 

 

勾留の延長とは

勾留の満期日(勾留請求から10日目のことをいいます)が近づくと、検察官は、勾留期間を延長するように、裁判官に請求をします。

そして、裁判官が「やむを得ない事由」があると認めたときに、勾留の期間が延長されることとなります。

この延長の期間は、「10日を超えることができない」とされています。
「勾留は最大で20日間」といった表現をみかけることがありますが、これは、逮捕後10日間の勾留が決定され、さらに10日間の延長決定があった場合を想定しています。

 

 

勾留延長が許可される「やむを得ない事由」とは?

それでは、勾留期間が延長される「やむを得ない事由」とはなんでしょうか。

これは、判例上、事件の複雑困難(被疑者・被疑事実多数、計算複雑、供述等の著しい食い違い、取り調べを要する関係者・証拠物多数等)、あるいは証拠収集の遅延ないし困難(重要な参考人の病気、旅行、所在不明、日時を要する鑑定等)等により勾留期間を延長して更に取り調べをするのでなければ起訴・不起訴の決定をすることが困難な場合をいうとされています。(最判昭37年7月3日)

 

つまり、事案自体が複雑で、聴取すべき被害者や目撃者などの事件関係者が多くいたり、証拠物が多いことから、物理的に10日では事件処理が追い付かない場合や、起訴・不起訴の判断をするために被疑者の精神鑑定が必要で、そのためにどうしても10日では足りない場合などが挙げられます。

 

「やむを得ない」という言葉からも分かるように、勾留の延長は、限定的に運用されるべきものです。

しかし、この「やむを得ない事由」は非常に簡単に認められてしまっているのが実情です。

 

 

勾留延長を阻止する弁護活動

そもそも、身体拘束はご本人にとって肉体的、精神的、社会的に大きな負担を伴うものであり、いうまでもなく最小限にとどめるべきです。

身体拘束を軽視した運用は、決して許されるべきではありません。

 

当事務所では、まず、当初の勾留決定がなされないよう、活動します。そして、勾留決定がなされた場合にも、勾留が当初決定された期間以上に長引くことのないよう、活動します。

具体的には、まず検察官と交渉し、勾留の延長請求をしないよう働きかけることがあり得ます。

それでも検察官が勾留の延長請求をした場合には、裁判官に対し、次のような事情を指摘し、働きかけます。

 

  • 単純な証拠関係の事件であること
  • ⇒被害者が1名、1件、突発的な事件であることなど

  • 10日以内に捜査は終了している(起訴・不起訴の決定をすることが可能)と考えられること
  • 仮に捜査が終了していない(起訴・不起訴の決定をすることが不能な状態である)としても、それは捜査機関の事情であり、被疑者にその不利益を負わせるべきでないこと
  • 釈放の必要性が高く、弊害が小さいこと
  • など

 

勾留延長決定がされた場合には、決定に対する準抗告(不服申し立て)をし、判断の見直しを求めます。

おわりに

勾留決定がされるまでの「逮捕から72時間が大事」ということはよく言われます。

そのことに間違いはありません。

しかし、それ以上の時間が経過し、勾留決定があった後でも、さらなる「勾留延長」の可能性があります。そのため、勾留延長されないための活動が必要になります。

逮捕後72時間を超えてしまったからもう手遅れ、などということは全くありません。

当事務所は、少しでも早期の釈放を目指し、活動してまいります。

ご家族が逮捕されてしまった、勾留がついたと連絡があったという場合には、是非ご相談ください。