記事を執筆した弁護士

弁護士法人ルミナス法律事務所 東京事務所
弁護士 大橋 いく乃

早稲田大学大学院法務研究科卒業。最高裁判所司法研修所修了後、弁護士法人ルミナス法律事務所に加入し、多数の刑事事件・少年事件を担当。第一東京弁護士会刑事弁護委員会・裁判員裁判部会委員、刑事弁護フォーラム事務局、治療的司法研究会事務局等を務める。無罪判決、再度の執行猶予判決等を獲得。精神障害を有する方の刑事弁護に注力しており、医療・福祉の専門家と連携した弁護活動に積極的に取り組んでいる。

接見等禁止決定とは

「接見等」は、接見及び書類の授受のことです。接見とは、身体拘束を受けているご本人と面会することをいい、書類の授受とは手紙などの書面のやりとりをすることをいいます。

見等禁止決定とは、弁護人以外の者がご本人と面会すること、書類の授受をすることを一切禁止するという決定です。通常、検察官からの請求を受け、裁判所が接見等禁止を付するか否かを判断します。

 

 

どんなときに接見禁止がつくの?

接見禁止は、「逃亡し又は罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」に付されます(刑事訴訟法81条本文)。つまり、弁護人以外の者と面会したり、書類の授受をする中で、身体拘束中の方が逃亡したり、証拠を隠滅・捏造したりする可能性があると判断された場合に、接見禁止が付されることとなります。
一般面会の場合、面会中には立ち合いがつきますし、手紙も担当者により内容の確認(検閲)がなされます。もちろん事案にもよりますが、面会や手紙のやりとりをする中で逃亡を図ったり、証拠の隠滅などをすることは、現実的に難しいことであろうと考えられます。

 

それでは、接見禁止が付されるのは限られたケースかというと、そうではありません。

組織的な事件や、共犯事件、事実を認めていない事件の場合には、付されることが多いです。裁判所や検察官は、ご本人が面会者に伝言などすることで、共犯者や被害者に働きかけ、供述を変えさせてしまうのではないかと考えるためです。

このような接見禁止は、起訴され、裁判がある程度進行し、共犯者や被害者の供述が公判で取り調べられるまで解除されない場合もあります。

 

 

ご家族の面会や手紙のやりとりを許可してもらうために

接見等禁止を解除するためにできることが2つあります。

一つが、接見等禁止決定に対する準抗告・抗告です。(起訴後第1回公判までは準抗告、第1回公判後は抗告といいます。)

接見等禁止決定自体が不当であるとして争い、並行して、せめて家族など近親者だけは解除すべきであると主張することができます。

もう一つが、接見等禁止一部解除の申し立てです。

事件に無関係の家族などが逃亡を手伝ったり、証拠を隠滅したりすることは現実的ではなく、これらの近親者についてのみ、一部解除を申し立てることができます。

家族については、比較的認められるケースも見られますが、それでも、なかなか認められないケースもあります。そのような場合には、1回に限っての面会や手紙の差し入れを許可してほしいと申し立てるなど、なんとか面会や手紙のやりとりを認めさせるべく工夫していきます。

 

 

おわりに

身体拘束を受けている方は、身体拘束それ自体で、精神的にも身体的にも大きな負担を強いられることとなります。逮捕を皮切りに、突然「被疑者・被告人」として扱われ、事件のことばかり聞かれる毎日。そのような中で、ご家族との面会や手紙のやりとりは、ご本人がご本人でいるために不可欠の、非常に重要なものです。それにも関わらず、接見禁止が付されてしまえば、ご本人は精神的にさらに追い込まれ、適切な取り調べ対応ができないばかりか、間違った自白に追い込まれてしまったりということも起こり得ます。

接見禁止がついた場合には、それを一部でも解除するために、できることがあります。

家族が逮捕されたけれども、接見禁止が付されてしまって面会ができず、本人の気持ちが分からないなどといった場合には、接見禁止を解除し、面会できるよう手続きを進められるかもしれません。

是非、一度当事務所にご相談ください。

 

 

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弁護士 大橋 いく乃