記事を執筆した弁護士

弁護士法人ルミナス 代表
弁護士 中原 潤一

弁護士法人ルミナス代表弁護士。日弁連刑事弁護センター幹事、神奈川県弁護士会刑事弁護センター委員、刑事弁護実務専門誌編集委員等を務め、全国で弁護士向けの裁判員裁判研修の講師を多数務めている。冤罪弁護に精通し、5件の無罪判決を獲得。少年事件で非行事実なしの決定等の実績を有する。逮捕・勾留されているご依頼者を釈放する活動、冤罪事件の捜査弁護活動及び公判弁護活動、裁判員裁判等に注力している。

目次

1.特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子とは
2.特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子の刑事処分の見込み
捜査段階
裁判段階
3.特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子の解決実績

 

 

特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子とは

オレオレ詐欺、振り込め詐欺、特殊詐欺…etcいろいろな名称があります。

主に、高齢者から金銭を騙し取る詐欺のことを言います。

昔は息子や甥などの親族を装い、高齢者からお金を騙し取っていました。最近は金融庁や銀行の職員を装い、キャッシュカードを騙し取ってキャッシュカードからお金を引き出したり,高齢者にギフトカードを購入させてそれを詐取するようなものなど、手段は多様化してきています。

最近では、新型コロナを利用した特殊詐欺も増えてきています。給付金を得るためにまずお金が必要だなどという手口もあり得ます。

このような特殊詐欺の手口のうち、高齢者からお金を受け取る係、キャッシュカードを受け取る係のことを「受け子」といいます。

受け子をやるのは、知り合いからいい仕事があると聞かされて、具体的な内容を聞かされないまま関与させられてしまう若い男の子が多い印象です。

当初は20代前半の男性が中心でしたが、現在では大学生や高校生まで「受け子」にされてしまうケースが増えています。

下記に記載しているとおり、オレオレ詐欺等の特殊詐欺に対する社会の目は厳しいので、大学生や高校生でも10日もしくは20日間勾留されてしまいます。

たとえ「オレオレ詐欺等の特殊詐欺だとは知らなかった」という話をしていたとしてもです。

当事務所がご依頼を受けるケースも、お子さんがオレオレ詐欺の受け子の容疑で逮捕されてしまったと言うご両親からの相談がきっかけであることが圧倒的に多いです。ご相談を受けたら、直ちに弁護士がお子さんの接見に向かい、弁護活動に着手します。

お金を直接受け取るケースでは詐欺罪が、キャッシュカードを受け取ってATMからお金を引き出すケースでは、詐欺罪窃盗罪が成立するとされています。

 また、最近では、持続化給付金の不正受給の仕方を指南するという方法で、高校生や大学生などの若年層に不正受給させ、手数料名目でお金を獲得するという手法も増えているようです。この不正受給に関わってしまった高校生や大学生にも詐欺罪が成立することになります。

 

詐欺罪の罰則:10年以下の懲役(刑法第246条)

窃盗罪の罰則:10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑法第235条)

 

 

特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子の刑事処分の見込み

捜査段階

どのくらい勾留されてしまうのか

捜査段階というのは、詐欺罪や窃盗罪で逮捕・勾留されて、検察官が処分を決めるまでの期間のことを言います。

勾留は、原則10日間、例外的に10日間延長できるという制度になっています。

まず、特殊詐欺(振り込め詐欺)の場合、容疑を認めていても否認していてもほぼ延長されてしまいます。

ですので、勾留は20日間されることを想定しておいた方が良いです。

勾留を争っても、延長を争っても、裁判所は勾留期間をなかなか短くしてくれません。

それは、通常、特殊詐欺(振り込め詐欺)は一人でやるものではなく、組織的にやるものであるという考えがあるからです。

そして、組織で行うので、共犯者がいることから、認めていても接見禁止処分を付けられてしまうことが多いです。

接見禁止処分を付けられてしまうと、ご両親でも面会することができません。

ですので、ご両親との接見禁止処分の解除を求めなければなりません。

 

裁判になるのかならないのか

先ほど、勾留は、検察官が処分を決めるまでの期間のことだと言いました。

この場合の検察官の処分には、①裁判にかける(公判請求・起訴などと言います)、②裁判にかけない(嫌疑不十分で不起訴、起訴猶予で不起訴)というものが想定されます。

 

まず、事実を認めている場合、ほとんどのケースで裁判にかけられてしまいます

捜査段階で、たとえ被害者の方と示談が成立したとしても、裁判になるケースが多いです。

それは、特殊詐欺(振り込め詐欺)が日本で多大な被害を及ぼしていることから、振り込め詐欺の関与者には厳しい姿勢で臨むという検察庁の方針があるのではないかと考えています。

ですので、起訴猶予処分はあまり見込めないのが現実です。

 

一方、事実を否認しているケースでは、検察官が裁判で立証できるかどうかを考えて決めますので、嫌疑不十分で不起訴になるケースは十分にあり得ます。実際に、弁護士法人ルミナス法律事務所でも、嫌疑不十分で不起訴になったケースを取り扱った実績があります。

 

したがって、これらを前提に、捜査段階にどのような弁護活動を行うのかを考えなければなりません。

 

再逮捕も視野にいれておく必要がある

関与してしまったケースが一件だけではない場合には、再逮捕される可能性があります。

そして、一度特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子になってしまった方は、組織の上位者から脅されるなどして、複数件に関与してしまうことも少なくありません。

ですので、自身が関与してしまったケースが複数あれば、一件ずつ再逮捕されてしまう可能性が十分にあることを視野に入れておかなければなりません。

 

 

裁判段階

事実を認める場合

特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子で事実を認める場合、初犯であれば執行猶予の可能性が出てきますが、初犯でなければ執行猶予になる可能性はかなり低いと言えます。現在、裁判所の特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子に対する量刑は非常に厳しいものがありますので、初犯でも実刑になることを覚悟しなければなりません。

初犯で、被害者に金銭的な被害がなかった場合や被害が非常に少なかった場合、もしくは被害弁償ができたような場合には、執行猶予になる可能性が出てきます。逆に、初犯でも複数件ある場合、被害弁償ができていないような場合、被害弁償をしたけれども非常に少ない金額しか弁償できなかった場合には、実刑になる可能性が高いです。

 

事実を争う場合

事実を争う場合には、こちらの主張が認められれば、無罪判決を獲得することになります。

特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子で事実を争う場合、「それが特殊詐欺(振り込め詐欺)だとはわからなかった」という主張をすることが多いです。これは、詐欺の故意(認識)を争うケースと言えます。

ただ、最近の裁判所は、この認識に対する態度も厳しいものがあります。

スーツを着て、偽名を名乗り、初対面の高齢者から何か物を受け取る行為それだけで、特殊詐欺(振り込め詐欺)だという認識はあっただろうと考えているようです。

ですので、詐欺の故意を争うにしても、どのようにして争うのか、その争い方を周到に準備しなければなりません。詐欺の故意を争うためには、冤罪弁護に精通した弁護士に相談することが重要です。

 

 

特殊詐欺(振り込め詐欺)の受け子の解決実績

弁護士法人ルミナス法律事務所では、特殊詐欺(振り込め詐欺)の事実を争って不起訴処分を獲得したケースや、特殊詐欺(振り込め詐欺)の事実を認めて裁判で執行猶予付きの判決を獲得したケースがあります。

複数の特殊詐欺(振り込め詐欺)で起訴され、被害金額も多額であったことから、裁判例の傾向からすると実刑判決となる可能性がきわめて高いと考えられるケースにおいて、執行猶予付きの判決を獲得した実績もあります。

 

特殊詐欺(振り込め詐欺)のケースでは、特殊詐欺(振り込め詐欺)の刑事処分がどうなるかについて精通しており、それを前提とした弁護活動が不可欠です。特殊詐欺(振り込め詐欺)の弁護活動は、弁護士法人ルミナス法律事務所にご相談ください。

 

 

弁護士法人ルミナス法律事務所横浜事務所

弁護士 中原潤一

 

特殊詐欺(振り込め詐欺)の解決実績

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