平成31年1月31日、医療法人社団 明善会 大森榎本クリニックにて行われた、第4回クレプトマニアセミナー「万引き依存症の治療と家族支援について」という弁護士・家族・関係者向けのセミナーに参加しました。

 

クレプトマニアとは、窃盗症などとも呼ばれ、個人的に用いるためでも、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される精神障害です。万引きを繰り返してしまうというのが、その主たる症状になります。弁護士法人ルミナスでも、クレプトマニアと思われる万引きを繰り返してしまう方やそのご家族からご依頼を受けることが多いため、セミナーに参加致しました。

 

大森榎本クリニックは、クレプトマニアを含む依存症者の支援を行っている精神科医療機関です。

このセミナーでは、各回様々なテーマを設け、この問題に日々向き合い携わる精神保健福祉士の方などにご講演いただきます。

今回は、同クリニックの精神保健福祉部長である斉藤章佳先生より万引き依存症の治療と家族支援についての総論的なお話があった後、家族支援グループ(通称KFG:Kleptomania Family Group-meeting)の活動に携わっておられる精神保健福祉士高橋謙一先生より、KFGの概要と取り組みについての報告がありました。

 

斉藤先生には、クレプトマニアが、現代社会で抱える様々な問題をきっかけにして、現代人だからこそ陥る病であり、特別な人だけがなるものではないということを前提に、事件の前後で変わる家族の関係性について、「日常性の喪失と新たな日常性の再構築」というキーワードをもってわかりやすくご説明いただきました。

いくつかのケースをご紹介いただき、クレプトマニアに罹患したご本人に対する治療と同時に、ご本人が検挙されたときから日常性を喪失し、ご本人への対応や慣れない刑事手続きに追われることとなるご家族に対する支援がいかに重要であるかについて実感することができました。

 

高橋先生からは、KFGにおいては、①家族同士の交流を通じた困りごとの共有、②刑事手続きについての情報資料提供、③ご本人が受けるプログラム内容の紹介などを行っているとのご報告がありました。これは、ご本人とのかかわりに悩むご家族の支援や、ご家族自身のメンタル支援、ご本人の再発防止に向けた回復支援の意味があるということでした。

KFGは日常性を喪失したご家族へのケアの場であり、新たな日常を再構築するきっかけや希望を見出す場なのだということがよくわかるお話でした。日々ご本人やご家族に寄り添い、支援されている高橋先生のお話は、実感を伴うもので、大変勉強になりました。

 

クレプトマニアで万引きを繰り返している方々は、ご本人もご家族も本当に苦しんでいらっしゃいます。私たちは、クレプトマニアで苦しんでいる方々の一助になれればと考えています。私たちはこれからも、多角的な視点からクレプトマニアの問題への理解を深めていくことで、今後の弁護活動を一層充実したものとできるよう、努力してまいります。

 

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弁護士法人ルミナス法律事務所

弁護士 大橋いく乃

 

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