平成31年1月16日、日本弁護士連合会、龍谷大学犯罪学研究センター主催の国際シンポジウム「揺さぶられっこ症候群(SBS)を知っていますか」に参加しました。

 

揺さぶられっこ症候群(SBS:Shaken Baby Syndrome)とは、乳児に目立った外傷がないものの、硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫という三徴候が見られた場合に下される診断名です。日本では、この三徴候があった場合には、乳児の急変直前にその乳児に対し暴力的なゆさぶりがあり、それは故意によるもの、すなわち虐待であると推定し、一緒にいた乳児の父親や母親を逮捕するというケースが多くみられます。

 

今回のシンポジウムでは、まずSBS検証プロジェクト共同代表の大阪弁護士会秋田真志弁護士より、SBS問題について国際的に再検討されている中、日本は取り残されており、深刻化する冤罪被害と親子分離について問題提起がありました。続いて、同プロジェクト共同代表の甲南大学法学部笹倉香奈教授より、企画趣旨の説明、大阪弁護士会宇野裕明弁護士より、SBSについての基本的事項の説明がありました。

その後、海外ゲストとして、元オクスフォード大学のジョン・ラドクリフ病院医師で神経病理学を専門としているウェイニー・スクワイア医師及びウメオー大学で法医学を研究されているアンダース・エリクソン教授からそれぞれご講演いただきました。

さらに当事者の声の紹介として、実際に冤罪の被害に遭われた二家族に対するインタビューが放映された後、関西医科大学の埜中正博医師、秋田真志弁護士、大阪弁護士会の岩佐嘉彦弁護士、大阪弁護士会の川上博之弁護士によるパネルディスカッションがありました。

 

スクワイア医師やエリクソン教授からは、揺さぶられっこ症候群(SBS)についての世界的な議論状況についての解説があり、揺さぶられっこ症候群(SBS)を支持する見解がいかに医学的根拠のないものであるかということが浮き彫りになっていました。一方で、実際に冤罪の被害に遭ったご家族のお話を伺うと、日本では未だにその見解に固執する医師や盲目的に信じ依拠する医師が非常に多いことを感じました。

 

医師が乳児をSBSであると判断するだけで、乳児の急変時に一緒にいた父親や母親が虐待の犯人と認定されてしまい、罪に問われるばかりか、親子が引き裂かれてしまうという間違った現状を、なんとか変えていかねばならないということを改めて認識しました。

 

虐待は当然に防がねばならないものです。しかし同時に、冤罪も絶対に防がねばなりません。

揺さぶったりしたことがないのに、揺さぶられっこ症候群とされて、虐待を疑われている方々、是非ご相談ください。

 

SBSについての詳しい内容を知りたい方は

SBS検証プロジェクトのホームページへ

 

弁護士法人ルミナス法律事務所

弁護士 大橋いく乃

 

刑事事件・少年事件を専門的に扱う
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