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弁護士法人ルミナス法律事務所 東京事務所 所長
弁護士 神林 美樹

慶應義塾大学法科大学院卒業。最高裁判所司法研修所修了後、都内の法律事務所・東証一部上場企業での勤務を経て、現在、弁護士法人ルミナス法律事務所所長。日弁連刑事弁護センター幹事、第一東京弁護士会刑事弁護委員会・裁判員部会委員等を務めている。冤罪弁護に注力し、無罪判決4件獲得。また、障害を有する方の弁護活動に力を入れており、日弁連責任能力PT副座長、司法精神医学会委員等を務めている。

少年や保護者の方から、「警察や家庭裁判所は、今回の事件のことを学校に連絡しますか?」というご質問を受けることがあります。

 

たしかに、事件について調べる捜査の過程で、警察が、少年の通う学校に対して、在籍確認等の照会を行うことはあります。

また、捜査が終了して家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所の調査官が、社会調査(少年に対してどのような処遇が最も有効・適切であるかを明らかにするために行われる調査)の一つとして、少年の通っている学校に対して、学校照会を行うこともあります。

 

しかし、すべてのケースで、必ず、少年が現に通っている学校に対して、照会、連絡が行われているわけではありません。

 

事件のことを在籍している学校に知られてしまうと、少年は、退学処分を受けたり、実質的に退学に追い込まれてしまったりして、学習環境を奪われてしまうことがあります。退学には至らなくとも、問題のある生徒だというような偏見をもたれてしまい少年が学校に行きにくくなってしまうというような悪影響が生じる可能性もあります。

 

子どもにとって、教育を受ける学校は、かけがえのない大切な場所です。

少年から学校という学びの場を奪うことは、少年の更生を図る上で、事後的には決して回復することのできない甚大な悪影響が生じます。

また、事件を知らせることによって学校不適応を招くことは、少年の心を過度に追い詰めることとなり、その辛さから逃げるための更なる再非行を招きかねません。

 

他方で、非行事実が比較的軽微なケースで、かつ、その内容が学校とは全く関係がない場合、少年が現に通っている学校に対して照会、連絡をする必要性は高くありません。

 

当事務所では、少年事件のご依頼を受けた場合、少年が現に通っている学校に対しては照会、連絡を行わないように警察や調査官に申し入れ、交渉を行っています。

具体的な事情を子細に伝えて交渉した結果、少年の通っている学校に対して、一切の照会、連絡が行われなかったケースが多くあります。

強盗致傷罪等の重大なケースにおいても、少年の通っている学校に対する照会、連絡を回避したケースもあります。

 

お子さんの少年事件に関して、学校照会に関するご不安、ご質問がありましたら、当事務所までご相談ください。

 

 

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弁護士 神林美樹