痴漢や盗撮を疑われても絶対に逃げないでください!

コラム

2019.01.26

痴漢や盗撮を疑われたら逃げるべき!?

かつて、痴漢や盗撮を疑われたらその場で全力で逃げるべきだ!という言説が流れていました。

それは、かつては、痴漢や盗撮で逮捕されてしまうと、否認をしていたら20日間勾留されてしまうからでした。

しかし、現在では違います。

痴漢や盗撮を疑われたとしても、逃げるべきではありません。

 

 

平成26年の最高裁決定が流れを決定的に変えた

東京や埼玉では、平成24年~平成25年頃から、勾留に対する裁判所の考え方が変わり、安易に勾留されなくなっていました。

つまり、痴漢や盗撮で逮捕されて否認をしていたとしても、勾留しないという判断が増えてきていたのです。

しかし、東京や埼玉以外では必ずしもそうではありませんでした。

そこで現れたのが、平成26年11月17日の最高裁決定でした。

京都の事件でしたが、痴漢の否認事件で裁判官が勾留請求を却下、これに対して検察官が準抗告をしたところ、裁判所がこれを認めて勾留されてしまいました。

これに対して弁護人が最高裁に特別抗告をしたところ、最高裁がこれを認め、勾留請求を却下したのです。

痴漢の否認事件であったとしても、被疑者とされている方が本当に逃げる可能性がどれくらいあるのか、罪証隠滅する可能性がどれくらいあるのかという点を、具体的・現実的に考えなさいという判断でした。

これにより、すでに東京や埼玉で始まっていた勾留に対する裁判所の考え方の流れが決定的に変わりました。

そのため、現在では痴漢や盗撮を疑われたとしても、勾留されてしまうケースはほとんどなくなっています

 

 

なぜ痴漢や盗撮を疑われても逃げてはいけないのか

上記のように、現在では東京や埼玉だけではなく、神奈川でも千葉でも他の地域でも痴漢や盗撮を疑われても勾留されてしまうケースはほとんどありません。

一方で、法律は、逮捕の条件として「逃亡のおそれ」、勾留の条件として「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」を挙げています。

つまり、逃亡のおそれがあると思われれば逮捕される可能性が、逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があれば勾留されてしまう可能性が出てきてしまうのです。

そしてその「おそれ」や「相当な理由」の有無は、客観的な行動から判断します。

現場で逃げてしまった場合には、この「逃亡のおそれ」や「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」があると判断されてしまい、逮捕や勾留をされてしまう可能性が出てきてしまいます。

ですから、痴漢や盗撮を疑われても逃げてはいけないのです。

逃げてしまった瞬間に、逮捕や勾留の条件を判断する前提となる材料を与えてしまうことになるのです。

 

 

痴漢や盗撮を疑われた時の対処法

それでは、疑われてしまったときはどうすればよいのでしょうか。

よく、駅員室に行くなと言われます。

これはそのとおりでしょう。「私人による逮捕」が認められていますので、「すでに逮捕されている」という取り扱いをされてしまう可能性があります。

駅員や駆け付けた警察官に名刺を渡すことは有効だと思います。

自らの正体を明かし、逃げません、呼び出しがあればいつでも応じますという態度を示すことになりますから、上記の逮捕や勾留の条件を欠くことになります。

可能であれば、その場で弁護士を呼んでください

弁護士が駆け付けた場合には、逮捕される可能性は極めて低くなるでしょう。

少なくとも東京や埼玉、千葉、神奈川では、痴漢や盗撮の冤罪で勾留される可能性は極めて少ないです。

 

 

痴漢に間違えられた場合は繊維片やDNAを採取してもらえば絶対に大丈夫!?

以前、テレビで痴漢に間違えられた場合には、手の繊維片やDNAを採取してもらえば大丈夫、といった内容の放送を見たことがあります。

つまり、手から繊維片やDNAがでなければ、触れていないことが証明されるので、冤罪を晴らせるというのです。

しかし、これは誤りです。

確かに、手から繊維片やDNAが出なかった事実は、痴漢の犯人ではないことを示す一つの事実です。

ですが、これだけで「犯人ではない」ということにはなりません。

検察官や科捜研の技師は「触れていたとしても繊維片やDNAが検出されないことは十分にあり得る」と主張してきます。

実際に、当事務所で扱った痴漢冤罪の事件でも、手からは繊維片やDNAが検出されていないのに起訴されています。

そして、検察官は「触れていたとしても繊維片やDNAが検出されないことは十分にあり得る」と主張しました。

結果的に、この事件は無罪判決を獲得しましたが、その判決理由中でも、手から繊維片やDNAが出なかった事実には触れられていません

繊維片やDNAを採取してもらうことは有効ではありますが、絶対的なものではないということだけ注意してください。

 

 

このページは,弁護士法人ルミナス法律事務所 代表弁護士 中原潤一(埼玉弁護士会所属)が執筆しました。

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