「未成年のうちに」4人に性的暴行して懲役5年6カ月…「少年法適用で罪が軽くなる」は本当かという取材に回答しました

4人の女性に性的暴行した元大学生(20)に、懲役5年6カ月の実刑判決が言い渡されたという事案について、被告人が「(少年法の対象となる)未成年のうちにレイプをいっぱいして20歳になったらやめようと思っていた」などと供述していたという報道があったことから、20歳未満に犯した罪は少年法の適用により、罪が軽くなるかという取材にお答えしました。

 

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少年法については、たくさんの誤解があります。

この被告人のように、あたかも、未成年のうちにした犯罪は軽くなるかのような言説もその誤解の一つです。

少年の時にした犯罪にどのような罰になるかというのは、一概に成人よりも軽いと言うことはできません。

大人だったら起訴猶予や執行猶予になるような事件であっても、少年だと長期の少年院送致になることがあります。

今回の事件のように、成人と同じ刑事裁判を受け、成人と同等の罰を与えられることもあります。また、犯罪を犯した時に少年であったとしても、逮捕されたのが成人になってからであれば、やはり成人と同じ刑事裁判を受け、成人と同等の罰を与えられることになります。例えば、令和3年2月3日、水戸地方裁判所が、茨城県美浦村で2004年、茨城大農学部2年の女子学生(当時21歳)が殺害された事件で、殺人と強姦(ごうかん)致死の罪に問われたフィリピン国籍の元少年(35)=当時18歳=に対し、求刑通り無期懲役を言い渡したという報道がありました。これは、犯罪を犯した時に少年であったケースですが、逮捕されたのが成人になってからであったため、成人と同じ刑事裁判を受け、成人と同等の罰を与えられたケースということになります。

 

少年法が適用されたら軽くなるというのは、明らかに誤解です。

 

この被告人だけではなく、日本ではそのような誤解をしている方が多いように思います。それは、報道機関が、あたかも少年法の方が軽いような報道をしていることに責任があります。この取材でも回答したように、もし被告人が正しい知識を持っていて、強制性交等をした場合には成人と同等の罰を受けることになると知っていたら、この被告人は犯罪をしなかったかもしれません。被害者を産み出さずに済んだかもしれません。

少年法について冷静な、正しい知識、正しい認識を元にした報道が求められると思います。

このことについて動画も作成しましたので、ぜひこちらもご覧ください。

 

 

弁護士法人ルミナス法律事務所横浜事務所

弁護士 中原潤一

 

刑事事件・少年事件を専門的に扱う
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